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日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

日本企業よ、「小さな巨人」でいいじゃないか
欧米流の規模追求と決別、日本らしい経営の姿

松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]
【第19回】 2014年11月12日
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日本の「世紀の大合併」が霞んだ
アルストムを巡る仁義なき規模追求の戦い

 「One giant and others」

 これはドイツの官僚が発した一言だ。

 一方、日本の経産省の官僚はこう呟いた。

 「これでは、我が国の世紀の合併が霞んで見える」

 ゼネラル・エレクトリック社(GE)とシーメンス・三菱重工連合による、アルストムのエネルギー部門の買収合戦は、記憶に新しい。

 GEの独り勝ちを何としても阻止したいドイツのシーメンスは、日本の三菱重工に声をかけた。日々、ライバルとして戦っている両社も、このときばかりは盟友となった。結果はGEに軍配が上がり、エネルギー部門だけで7兆円、ガスタービン単体でも3兆円という巨大企業が誕生した。

 このときドイツと日本の関係者が発したのが、冒頭のセリフである。

 このGEの大買収劇に先立つこと、わずか半年前。三菱重工業と日立製作所が、火力発電部門の合併を決めた。記者会見に臨んだ三菱重工の大宮社長は、「日本企業同士が国内外で消耗戦をするよりは、一緒に海外の競合と戦うことが重要だ」と語った。

 名門同士がプライドを捨て、志を持って世界へと歩み始めた歴史的一歩は、世紀の大合併と報じられた。新会社の売上高は約1.2兆円、世界の巨人であるGEやシーメンスの背中が見えた瞬間でもあった。

 しかし喜びも束の間、わずか半年後にはGEがアルストムのエネルギー部門買収を実現させて、再びその差は開いてしまった。日本企業の大決断さえ小さく感じられた「欧州夏の陣」だった。

 三菱重工の売上高は約3兆円。太平洋戦争中はかのゼロ戦を創り出し、日本最高の技術者集団として日本の産業界を牽引してきた企業だ。その企業がさも「負け組」のように捉えられてしまう「仁義なき規模追求の戦い」とも言える。

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松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]

株式会社O2(オーツー)株式会社XrossVate(クロスベイト)株式会社安田製作所代表取締役。1970年生まれ。千葉県出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。大手化学メーカー、外資系ITベンダーのディレクター、コンサルティングファームのディレクターなどを経て、2004年株式会社O2を設立、代表取締役就任。2013年に新会社XrossVateを設立。2014年に射出成型用金型メーカ株式会社安田製作所に出資を行い経営参画。


日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

日本の製造業は危機に瀕していると言われて久しい。様々な業界関係者が口にする「日本企業は技術で勝っても事業で負けている」という言い訳は、本当に正しいのか。実は、日本のゲンバにはもっと根深い本質的な課題がありそうだ。日本企業の5重苦、7重苦の原因は、日本の技術力の低下そのものにあり、その原因は大きく「技術伝承」の放置と悪い意味での「部分最適思考」の2つにある。製造業を中心に大手企業のコンサルティング業務を手がけ、企業のゲンバと深い付き合いを続けてきた株式会社O2(オーツ―)の松本晋一代表取締役が、“超高速すり合わせ型”モノづくりの極意を説く。

「日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ」

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