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今週のキーワード 真壁昭夫

日中首脳会談での習近平の態度に目くじらを立てるな
アジアのパワーバランス変化を見据えた“大人の対応”

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第352回】 2014年11月18日
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APECで見えた日中の新たな動き
習近平のふてぶてしい表情の裏側

 北京でAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が開催された。日米中などの首脳が一堂に会し、それぞれの外交を展開した。一方、わが国では来年10月の消費税率再引き上げを巡って、衆院解散、総選挙の実施が現実味を帯びている。このところ、国内外の政治の動きが早くなっている。

 特に中国がホスト国となったAPEC会議の展開は、私のような政治の門外漢にとっても興味深いものであった。今回の会議の報道を通じて何よりも印象に残ったのは、中国の指導者である習金平国家主席のの自信に満ちた態度だ。知り合いの政治専門家の中には、同氏の立ち居振る舞いを“ふてぶてしい”と表現する人もいた。

 習金平が世界第2位の経済大国の最高指導者として、確固たる政権基盤を築きつつあることを考えると、そうしたスタンスはそれなりに理解できる。

 しかし、中国経済はすでに曲がり角を通過しており、これからは以前のような高成長を達成することは難しいと予想される。また、中国国内では民主化の遅れから国民に不満が蓄積しつつあることや、大規模な不動産バブルの処理、一人っ子政策に伴う人口構成の歪みなど、多くの問題が存在している。

 それらの要素を考えると、中国のモメンタム(勢い)はどこかで低下するだろう。それに伴い、いずれ軍事費の拡大に歯止めをかけざるを得なくなるはずだ。そうなると、中国は現在のような“力の論理”を振りかざすことが難しくなると見られる。

 それにもかかわらず、習主席の表情からは尊大とも言える自身が見て取れる。そのギャップに違和感を持つ人は、少なくないだろう。

 それに加えて、米国の中間選挙で民主党が大敗したことで、今まで“弱腰”と評されてきたオバマ外交は少しずつ変化することも考えられる。中国は、それをどのように収束するつもりなのだろう。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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