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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

習近平とオバマは中南海で何を語っていたのか
3つのシーンから検証する中国民主化の行方

加藤嘉一
【第39回】 2014年11月18日
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過密日程のなかで
10時間に及んだ会談

 北京で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)非公式首脳会議が閉幕した。主催者である中国の習近平国家主席はここぞとばかりに積極外交を展開した。

 アジア太平洋自由貿易区構想、アジアインフラ投資銀行、シルクロード基金といった“パンアジア・パシフィック”を彷彿させ、同地域で主導権を握りながら地域の繁栄と安全を引っ張っていく意思を示唆するプランを次々と打ち出し、参加国に共鳴を求めた。

 習主席は、日中だけでなく、国際社会でも話題を呼んでいた安倍晋三首相との会談に挑んだ。また、韓国の朴槿恵大統領とは中韓自由貿易協定(FTA)を実質的に妥結させた。ロシアのプーチン大統領とも単独で会い、中ロの友好と協力を確認し合った。さらに、習近平・オバマ会談では、温暖化ガス削減の合意や米中両国間の人員交流におけるビザ緩和、経済交流における投資協定の促進、軍事政策・交流でも協力関係を強化していく旨を話し合った。

 今回のAPEC非公式首脳会議を通じて、もちろん安倍・習会談が行われた事実はひとつの注目点であったが、私がもっとも衝撃を受けたのは、11日夕方から12日午前中にかけて、約10時間に渡った習近平・オバマ会談である。昨年6月、米カリフォルニア州サニーランドで行われた非公式会談において、2人は約8時間、時空を共にしたが、今回はそれ以上の接触ぶりであった。

 「今回、あなたのスケジュールは過密だ。公式な会談とリラックスできる場面、両方を準備させていただいた」。習主席はオバマ大統領にこう語った。

 本連載の核心的テーマである中国民主化研究という観点から見て、今回の習近平・オバマ両リーダーのやりとりには、中国政治の未来を習近平という中国の最高指導者の思考回路や価値体系から考えるうえで、重要なエッセンスが詰まっている。

 本稿では、両氏の約10時間に渡った接触と交流をレビューしつつ、中国民主化問題を捉える上で我々がいま認識すべきインプリケーションを3つ抽出し、検証を加える。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

「加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ」

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