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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

売上げよりも、“ミッション”ありき。それでも売れている「チャリティ商品」の秘密

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第2回】 2009年8月4日
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 多くの企業が売上げ不振に悩む中、近年、注目されているマーケティング手法がある。『コーズ・リレーテッド・マーケティング』(以下、コーズ・マーケティング)である。

 これは、企業の事業活動によって得た利益の一部をNGOなどの組織に寄附することで、社会問題の解決に貢献し、しかも商品の売上げや企業価値を上げる手法である。

 欧米では盛んに行なわれているが、寄附の文化がないといわれるこの日本では、これまであまり活用されてこなかった。しかし最近では、めざましい成功を収めるプロジェクトやプログラムが続出し、注目を集めている。今回はいくつかの成功事例を紹介しながら、このマーケティングの本質に迫ってみたい。

日本でも成功事例が続々。
その成功の秘密は?

今年で3年目を迎えた、ボルヴィックの「1L for 10L」プログラム。ユニセフを通じて、アフリカ・マリ共和国に清潔で安全な水を確保する井戸が建設される。

 日本で最も知られた『コーズ・マーケティング』の成功事例といえば、ボルヴィックの「1L for 10L」プログラムだろう。さほど社会貢献に関心の無い人でも、「ボルヴィックを1L買うと10Lのキレイな水がアフリカに提供される」という仕組みくらいはご存じかと思う。

 ボルヴィックを日本で取り扱うダノンウォーターズオブジャパン(以下ダノン)がこのプログラムを開始したのは2007年の7月。同年9月までの3ヵ月間、展開されたが、対前年比31%も売上げがアップ。翌2008年もプログラム期間を6月から10月までの5ヵ月間に延長して継続し、さらに11%の売上げ増を実現。7-9月だけで比較すると、2年間で51%も売上げを伸ばした。

 アメリカン・エキスプレス(以下、アメックス)は、昨年末、チャリティ・キャンペーンを実施。提携店舗で買い物をし、アメックスのカードで支払いをすると、カード利用1回につき100円が医療支援NGO「世界の医療団」に寄附されるという仕組み。リーマン・ショック直後の世界的な経済危機の中にもかかわらず、店舗によっては対前年比で30%以上の売り上げ増を達成。また、店舗で買い物をした利用者数は、20代の会員に限れば約60%増という驚異的なパフォーマンスを叩き出している。

 王子ネピアは、昨年7月から10月まで「千のトイレプロジェクト」を実施。ネピア製品を買うとその一部がユニセフに寄附され、東ティモールの学校や村に清潔なトイレが建設され、さらに衛生教育も行なわれるというプロジェクトだ。この時期、原油高や原料高の影響でティシュやトイレットパーパーが各社一斉に値上げしたという逆風の中、同業他社が大きく売上げを減らした一方、ネピアは消費者からの共感を得て、売上げが大幅に落ちることはなかったという。

創業125周年を記念して作られた、ブルガリのチャリティ・リング。39900円のうち7600円が、「セーブ・ザ・チルドレン」に寄附されるという仕組み。

 ブルガリは創業125周年を迎えた今年、世界の子ども支援のNGO「セーブ・ザ・チルドレン」が行なう「Rewrite the Future~いっしょに描こう!子どもの未来~」キャンペーンをサポート。キャンペーンのために特別に製作されたチャリティ・リングなどを購入すると、売上げの一部(39900円のうち7600円)が世界の子どもたちを支援するNGO「セーブ・ザ・チルドレン」に寄附され、紛争地域に住む800万人の子どもたちに教育の機会を提供する活動に役立てられる。高級ブランド市場が大幅に縮小する中、今年末までに1千万ユーロ(約13億円、2009年7月30日時点)の寄附を目標として、全世界で展開している。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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