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China Report 中国は今

追悼、高倉健さん――。
映画評論家・佐藤忠男氏インタビュー
「これほどまでに日中両国で支持される
国民的名優・名作は今後出てくるのか?」

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第166回】 2014年11月21日
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今月10日、日本の映画俳優、高倉健さんが逝去した。中国でも即時にニュースが伝わり、日本にも勝るとも劣らない深い悲しみの声が上がった。中国報道官も「中国人も良く知る日本の芸術家、中日の文化交流に重要な貢献をした」と異例の報道ぶりを示した。

日中両国の国民にこれほど支持される名優は、後にも先にも高倉健さんしかいないだろう。映画評論家であり、日中映画史の研究者でもある佐藤忠男氏に、中国における高倉健さんとその舞台となる日中映画史について聞いた。

『君よ憤怒の河を渉れ』が
中国で大ヒットした意外な理由

――中国の一般大衆が高倉健さんを知るきっかけになったのは、1978年に劇場公開された『追捕』(邦題:『君よ憤怒の河を渉れ』/1976年、佐藤純彌監督)です。日本ではあまり知られていない映画ですが、なぜこの映画が「文化大革命後、中国初公開の外国映画」となったのでしょうか。

佐藤忠男(さとう・ただお)/映画評論家。昭和5年、新潟県生まれ。映画のみならず演劇、芸能、教育の分野でも評論活動を行っている。2011年から日本映画大学学長。アジア映画を中心に知られざる映画を紹介し、映画界の発展に貢献。著書に日中映画史を綴った『キネマと砲聲』(岩波書店)ほか多数

佐藤 その理由は意外に単純です。この映画は徳間書店の初代社長を務められた徳間康快(とくま・やすよし)氏が、中国で「日本映画祭」を自費で開いたことがきっかけとなったのです。時期はちょうど文化大革命が終わり、中国でも娯楽の提供に熱が入り始めた時代です。

 この頃、徳間氏は大映株式会社の社長であり、映画制作会社から作品を集めて中国に提供しました。その中には東宝・俳優座製作の『サンダカン八番娼館 望郷』(1974年、熊井哲監督)などや“人情もの”もあった。

 サンダカンなどは戦前の「からゆきさん」を描いた映画で、いずれの作品も当時の中国人にとっては見たこともないようなものでしたが、ひときわ全国民の関心を引いたのがこの『君よ憤怒~』だったのです。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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