中国の英雄が日本の軍人を真っ二つに!
荒唐無稽な「抗日ドラマ」は反日の象徴か
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中国人のヒーローが、華麗な剣さばきで日本人ののどを切り裂き、指を切り落とす。空手を使えば、相手は血しぶきを上げながら、真っ二つになって崩れ落ちる――。
そんな残酷とも荒唐無稽とも言える映像が日本人の間で物議を醸しているのが、中国でさかんに放映されている「抗日ドラマ」である。
この抗日ドラマ、戦時中に中国人に対して残虐な行為を行ったとされる日本の軍人が悪役として登場し、正義の味方の中国人が彼らをやっつけるという勧善懲悪的なストーリーが、中国で大いにウケていると言われる。そうした報道もあり、尖閣問題で日中関係が険悪化している昨今、中国人の反日感情を象徴する社会現象の1つと見る日本人も多い。
反日の象徴と言えば、筆者にも確かに思い当たるフシはある。取材で中国と日本を往復していて感じることの1つは、毎年夏になると中国で「抗日ドラマ」の放送時間が長くなるような気がすることだ。といっても、放送時間の増減に関する正式なデータがあるわけではない。個人的な実感として、筆者がそう受け止めているだけなのだが、それもあながち大きく間違っていないのではないかと思う。
それは、やはり終戦記念日の8月15日を挟み、7月から9月下旬にかけ、日中両国にとって敏感な記念日が複数あるからだ。
今年2月、中国は9月3日を「抗日戦争勝利記念日」と制定した。9月3日が何の日かわからない日本人も多いと思うが、1945年9月2日は日本が戦艦ミズーリ号上で正式に連合国(中国を含む9ヵ国)に降伏した日である。その翌日、抗日戦争勝利を祝う記念式典を行ったことから、中国はこの日を抗日戦争勝利記念日とした。
また、9月18日は盧溝橋事件の発端となった柳条湖事件が起きた日であり、中国人はこの日を「918」(ジウイーバー)と呼び、知らない人はいない。
そうしたことから、7月7日(盧溝橋事件が起きた日)から9月18日までの間は、中国人にとって「戦争」が脳裏に浮かぶ機会が多く、抗日ドラマが多数放送され、注目される時期であることは確かだと思う。