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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

相州牛からニュースキャスターまで特典競争が過熱
今や本末転倒に陥った「ふるさと納税制度」の悲鳴

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第120回】 2014年12月2日
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寄付金集めや地元産品のPR目的で
過熱するふるさと納税の特典合戦

 ふるさと納税をめぐる自治体の特典合戦が一層ヒートアップしそうである。寄付金集めや地元産品のPR目的で、破格な特典を用意する自治体が全国各地に相次いでいる。「お得なふるさと納税先」を特集するメディアも後を絶たず、特典目当てで制度を利用する人が増えている。物で釣り、物に釣られての寄付行為が広がっているのである。

 2008年に創設されたふるさと納税制度は、応援したい自治体に寄付をすると、寄付金から2000円を引いた額が寄付者の所得税と個人住民税から差し引かれるというものだ。寄付金額に応じて本来支払うべき税金が軽減(減税)されるので、寄付者の実質的な負担増は2000円ということになる。

 ただ、軽減される額には上限が設定されており、寄付者が居住する自治体に本来払う個人住民税の約1割とされている。また寄付した自治体から受け取った受領書を添付して確定申告をしなければ、税は軽減されない。

 ふるさと納税がスタートした2008年の寄付金額は、全国で約73億円(約3万人)だった。2011年には東日本大震災の被災自治体を応援するための寄付が一気に増え、総額は約650億円(約74万人)にも上った。手続きが煩雑なこともあって二の足を踏む人も多く、2012年は約130億円(約11万人)に減少した。

 その後、自治体が寄付へのお礼として地元の特産品などを贈る作戦に出るようになり、その動きがじわじわと全国に広がっていった。そしていまや特典の豪華さやユ二―クさを競い合う「ふるさと納税」ブームが到来しているのである。

 なかには特典目当ての申し込みが殺到して、お礼の品の発送が追いつかず、やむなく受付を一部中止したところさえある。その1つが神奈川県南足柄市だ。

 南足柄市は、2013年8月から1万円以上の寄付をした市外在住者に5000円相当(送料込み)の記念品を贈るようになった。記念品はいずれも地元の特産品などで、足柄茶や練り製品、ジャムセットやアイスクリームギフト、温泉の入浴券、相州牛など全部で8品目。寄付した人がこれらの中から自由に好きなものを選べることになっていた。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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