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トンデモ人事部が会社を壊す

「リストラは私のせいではない!」
社長の仰天発言に見る組織の病

山口 博
【第12回】 2014年12月2日
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マネジメントと社員の二極対立構図を収拾できない日本法人のトンデモ社長がいる一方で、経営陣が現場の知恵と工夫を集約し、それをハシゴに飛躍的発展を遂げた成長企業がある。今回は、二極対立構図の対極にある裁量経営について見てみたい。

 「日本法人での今回のリストラは、グローバル本社の指示によるものです。私にとっても寝耳に水でした。ですから、私は何も知りません」――。

 某米国IT企業の日本法人の人事部長時代に、日本法人のリストラクチャリングを実施せざるを得ない状況に直面した。冒頭は、全社員に対する説明会の席上での、日本法人社長の発言である。

 文字にすると意外にスルーして読める発言かもしれないが、この社長の発言の直後から、全社員会議は紛糾した。

 「何も知らないはずはないだろう」、「社長としての説明責任がある」――。次々とあがる社員の声に、とうとう社長は、「人事部がやっていることですから、私は何もわかりません」と返答し、会議はさらに混乱を極めた。

「私は何も知りません」と断言する
日本法人社長の統治能力欠如

 今回のリストラが、グローバル本社指示であることも、社長にとって寝耳に水だったことも、事実ではある。しかし、これらのコメントが、「私は何も知りません」「私は何も分かりません」という結語につながる前置きとして使われた途端、無責任発言としか捉えられなくなる。

 多くの社員たちは「社長が何も知らないということは有り得ない」と思っているからだ。だから、「社長の発言は嘘に決まっている」、「誠意をもって社員と対峙していない」と受け取ってしまう。怒り狂った社員たちの突き上げに遭ったあげく、「人事部がやっていることですから、私は何もわかりません」と全社員に返答し、社長自身に統治能力がないことを、自ら宣言してしまうに至る。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、コンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


トンデモ人事部が会社を壊す

サラリーマンの会社人生のカギを握る人事部。しかし近年、人事部軽視の風潮が広まった結果、トンデモ人事部が続々と誕生している。あっと驚く事例をひもときながら、トンデモ人事部の特徴や、経営陣がすべき対処法などを探っていく。

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