経営 × オフィス

営業部門よりもエラい!?
経営を危うくする人事の特権意識

山口 博
【第3回】 2014年7月15日
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 背の高いパーティションとキャビネットでデスク周りの三方を要塞のように囲んでいる――。私は、約150社の人事部長、財務部長をお訪ねして、社員の福利厚生制度の受け皿となる団体保険や団体年金の営業をしていたことがある。当時、多くの企業で見かけた光景だ。そう、人事部は要塞型のデスク配置が大好きなのだ。

 もちろん、人事の機密情報の取り扱いは万全に行わなければならない。なにしろ、社員の勤務時間から給与、異動から入退社まで、非常にセンシティブな情報を扱う部署だ。しかし、一方で社員の“秘密”を扱うだけに、いつしか特権意識を持ってしまうケースは非常に多い。

 「人事本部長の役割は社長のストッパーになることです」

 私が、製造業企業T社に人事本部長として着任した初日に、秘書から言われた言葉だ。人事本部長はそんなにエラいのだろうか…。私は、思わず息を呑んだ。同じことを、人事部の課長からも、やはり、初対面の時に言われた。

 こんな話もよく聞く。あるIT企業でのこと。女子トイレで、人事部契約社員が、社長秘書に「あなた、退社するんだってね?」と言った。前日に人事部長へ退社申し出をしたばかりの社長秘書は心底驚いたという。「なんで知っているの?」と問うと、人事部契約社員は、「だって、わたし、“ジンジ”ですもの」と答えた。

30年前の管理型人事を引きずる
特権意識と閉鎖思考

 管理型人事を追求していた1980年代には、もしかしたら、人事部が社長のストッパーになることも、まれには必要だったかもしれない。勤務時間や休暇の制度を作り上げる過程で、法規制を参照するプロセスはもちろんある。労働基準法に基づき、ビジネス部門に対してアドバイスをするということは、人事部の重要な役割だ。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、コンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


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