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リスク承知で農業経営に参入した三井物産の勝算

週刊ダイヤモンド編集部
2008年6月5日
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 食糧価格が高騰している。世界各国で食糧配給に列ができ、暴動が起こり、日本でも食品の品不足や値上げが相次いでいる。そんななか、総合商社の三井物産が異例ともいえる戦略に出た。

 これまで商社は生産を現地の農家に任せ、食糧の買い入れと流通のみを手がけてきた。ところが、三井物産はブラジルの農場に出資し、生産そのものを始めたのである。三井物産は2007年8月、ブラジルの穀物業者MULTIGRAIN S.A.社を傘下に持つ、スイスのMULTIGRAIN AG社の発行済み株式の25%を約100億円で取得した。同社はブラジルに東京23区の約1.6倍の10万ヘクタールもの農地を持つ。

 他商社はこの発表に驚いた。「農業は自然が相手のビジネスでリスクが大き過ぎる」からだ。せっかく育てても、天候や虫の害で収穫がゼロなどということもありうる。過去に海外の農地での生産に進出した商社もあったが成功せず撤退している。

 当の三井物産も「リスクが山ほどあるのは承知している」(兵藤英明・三井物産食料・リテール本部穀物油脂部大豆・菜種室プロジェクトマネージャー)。にもかかわらず、生産への参加を決めたのは、食糧獲得競争に歯止めがかかりそうもないからだ。

 過去にも食糧不足や価格高騰はあったが、カネさえ出せばどこかから必ず手に入るというのがこれまでの常識だった。しかし、「半年ほど前から、そんな日本の常識が通じなくなってきた」(兵藤マネージャー)。各国が禁輸措置を打ち出すなど、調達自体が困難になり始めているのだ。

 ブラジルで初めて収穫された大豆は今、船で日本に向かっており、6月には到着する。三井物産では今後も新たに海外の農場での生産に乗り出す可能性があるという。日本人を飢えから守るためには、三井物産の動きに、他の商社も追随するしかないのかもしれない。

(『週刊ダイヤモンド』 清水量介)

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