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2014年12月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
高萩昭範(Moff代表取締役)

“顧客”である子どもの徹底観察と試行錯誤が続いた
話題のウェアラブルおもちゃ「Moff Band」誕生秘話

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 スマートフォンの画面で「ちゃんばら」のアイコンを選んで、ちゃんばらごっこをするとキンキン、ギターを選んで弾く真似をすればギュイーン、ヒーローキャラクターの決めポーズでも効果音が鳴る−−−−。そんなウェアラブルおもちゃをご存じでしょうか。

 子どもが腕に装着して遊ぶ、リストバンド型おもちゃの「Moff Band」。加速度センサーと近距離無線規格ブルートゥース対応の通信機能が内蔵されていて、連携させたスマホのアプリケーションから、加速度や傾きなど腕の動きや姿勢の変化に応じてさまざまな効果音が出て遊べる仕組みです。2014年10月に発売を開始し、日米Amazonの電子玩具カテゴリーにて2位にランクイン! それに先立つ2014年3月には量産化に向け、製品のお披露目を兼ねて一般から出資を募る米国クラウド・ファウンディングサイトの「キックスターター」を活用したところ、なんと目標額の2万ドルをはるかに上回る8万ドルが約1ヵ月で集まりました。
 いま注目を集めるスタートアップ企業「Moff」代表取締役の高萩昭範さんに、起業までの異色の経歴や商品開発の紆余曲折、さらなる成長戦略を聞きました。

非技術系からモノづくりへ転身!

−−−コンサルティング会社や自動車メーカーなどを経て、事務職からウェアラブル・デバイスで起業されるというのは異色の経歴に思えますが、小さいころからモノづくりに興味をお持ちだったそうですね。

高萩昭範
(たかはぎ・あきのり)さん
株式会社Moffの代表取締役。京都大学卒業後、経営コンサルティング会社A. T. カーニーに就職、その後、メルセデス・ベンツ日本にて自動車のプロダクトマネージャーを務める。その後独立、Webサービスを立ち上げ後、2013年10月株式会社Moffを設立。2014年4月、ウェアラブル×センサー解析技術を組み合わせた拡張体験プラットフォーム「Moff Band」が米国クラウドファンディングKickstarterにて目標の4倍となる支援額を達成。2014年10月に販売を開始し、日米Amazonの電子玩具カテゴリーにて2位にランクイン。腕に装着している鮮やかなオレンジ色のリストバンドがMoff Bandだ。

 そうなんです。出身地は町工場がひしめく大阪府八尾市ですし、父も電気技師だったので、モノづくりは常に身近にあり憧れもありました。でも、就職時期(2002年)は日本の製造業が低迷ぎみで日本全体が自信を失っているかのような状態でした。そこで海外からその当時の事業に関わる最先端の方法論や考え方を学ぼうと思い、外資系のコンサル会社に就職しました。その後入ったメルセデス・ベンツでは、ドイツ本社直結の商品企画部門にいたので、一からの製品開発とはいかないまでも、プロダクトの仕様設計、マーケティングなどに関わり、知識や経験を蓄積しました。

 ただ、大きな組織での一人ではなく、もっと自分が関わっている手応えのある形で新商品を開発してみたいと思い、その後、独立してプログラミングやUIデザインなどを勉強して、Webサービスを仲間と一緒に立ち上げたりしていました。

−−−起業の直接的なきっかけは、2013年1月に開催された大阪市主催の『第1回ものアプリハッカソン』への参加だったとか。そのチームメンバーでそのまま起業に至ったというのも珍しい例ですよね。

 よく言われます(笑)。やはり、2013年は新しいハードウェア・ムーブメントが盛り上がっているときで、メンバーみんな取り組んでいて純粋に楽しかったからではないでしょうか。熱量が高かったです。

 僕たちの事業はハードウェアやアプリを作るだけでなく、それをデータ解析したり、動くコンテンツのためのサウンド・クリエイターが必要だったりと、必要なスキルの領域がすごく広いので、それぞれ技術や知識を持った人たちとプロジェクト的に組んでは進めていくやりかたです。

−−−その『ものアプリハッカソン』では、ぬいぐるみをインターフェースにするというアイデアで2位に選ばれ、具体的にモノづくりが進み始めました。ただし、このアイデア自体からは“ピボット(方向転換)”したとか。何があったのでしょう?

 当初は家族間のコミュニケーションに今何らかの課題があると考え、家族間のコミュニケーションを簡単に促してくれる「ぬいぐるみのインターフェース」をハッカソンでつくりました。

 入賞直後は、非常に面白いという評価もいただいたのですが、これをリーンスタートアップの手法でビジネスに練り上げようとしたときに躓きました。そもそも課題解決の前提である課題は何なのか、調べてみたら「(家族間のコミュニケーション方法についての)課題がない」と。というわけでハッカソンでつくったプロトタイプが前提とした課題がないとわかったので、改めてまた新しい課題探しをすることにしました。

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