12月14日の衆議院選挙を前に、国防問題・原発問題を争点とした議論が盛んになっている。しかし真の争点は、社会保障と雇用ではないだろうか?
今回は、2012年12月の第二次安倍政権成立後に行われた生活扶助削減・消費税増税が生活保護世帯にもたらした影響を中心に、この約2年間で社会保障がどのように変化したかを見てみたい。
車の故障によって失業した
元タクシー運転手の悲痛な訴え
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はじめに、一人の生活保護利用者・Aさんのメッセージを紹介したい。2014年11月5日に衆議院第一議員会館で開催された院内集会「下げるな!生活保護の住宅扶助基準と冬季加算 上げろ!生活扶助基準」に寄せられた、生活保護利用者たちからのメッセージの一つである。
Aさんは60歳になる単身者で、北海道札幌市に在住している。長年の間、タクシー会社に勤務するタクシー運転手であったAさんは、会社までの通勤に使用していた自動車の故障をきっかけとして失業した。折悪しく不況期であったため、修理も買い替えもできなかったのである。おそらくは、リースを利用することも不可能だったのであろう。
収入を失ったAさんは公共料金を滞納し、ガスも電気も止められてしまった。兄が辛うじて家賃だけは払っていたため住まいを失うことはなかったが、冬季の札幌で暖房を使用することができないまま、「寝袋にくるまって」生き延びていたという。しかしAさんは厳寒期の2月、手元に残っていたテレホンカードで支援団体に連絡をとって生活保護の利用を開始し、生きて春を迎えることができた。
現在のAさんは、うつ病を患いながらも障害者施設に勤務している。フルタイム勤務は困難なため、一日6時間のパートタイム勤務である。収入は生活保護基準以下なので、「補足性の原理」により、生活保護基準との差額を生活扶助費として受け取っている。
Aさんの2013年からの暮らしぶりを、本人の言葉そのままで紹介しよう。