約7年ぶりに120円の壁をあっさり突破
猛スピードの「円安」はいつまで続くか?

 12月4日、ニューヨーク市場でドル・円の為替レートは一時、1ドル=120円の壁を越えた。5日の東京市場でも、輸入業者の円売りなどから円が弱含みの展開となり、120円の壁をあっさり乗り越えることになった。円が対ドルで120円の壁を超えて下落すのは、2007年7月以来約7年ぶりのことだ。

 今回の円安の背景には、日米の景況感の違いなどの通常の経済要因に加えて、わが国の巨額の貿易赤字や日銀の異次元の金融緩和策の実施など構造的な要素がある。当面、それらのファクターが大きく変化することは考え難く、円安トレンドは続く可能性は高い。

 もう1つ、今回の円安の特徴はスピードが速いことだ。円高から円安へトレンドが徐々に変化し始めたのが2011年11月だった。当時のドル・円レートは76円台だったことを考えると、わずか3年間で円は対ドルで57%あまり下落したことになる。そのスピードは驚異的だ。

 問題は、円が猛スピードで下落することは、ドルが同じペースで上昇していることを意味する。ドルの上昇は、米国の輸出産業によってマイナスの要因となる。米国がそれを未来永劫、容認することは考え難い。

 またわが国にとっても、猛スピードで円が下落することには無視できない問題もある。そうした状況を考えると、どこかの段階で日米の政府要人の発言をきっかけに、スピード調整の可能性があるだろう。

 ただ、120円の壁を越えたことでモメンタム(勢い)がついていることも確かである。ヘッジファンドのマネジャー連中の中では、「テクニカル面で見た次のメドは124円程度になる」との見方が有力だ。