ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

折口氏復活の密約も? UT社があぶりだしたグッドウィル再建の舞台裏

永沢 徹 [弁護士]
【第30回】 2008年5月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 昨年、子会社コムスンが行なっていた介護事業の売却も完了し、その後順調に再建への道を歩んでいると思われていたグッドウィルグループ(グッドウィルG)。しかし今年1月、派遣業法違反により、子会社グッドウィルが2ヵ月の業務停止命令を受ける。これによりグループ全体の財務状況が悪化。自主再建の道は厳しくなり、外資系ファンド(サーべラス/モルガンスタンレーの2社連合)の支援を受けた再建が始まった。

 再建策の柱となるのは財務のリストラ。Promontoria Investment IB.V(サーべラス/モルガンスタンレーの合弁会社)に45億円分の第三者割当てをして普通株を引き受けて貰うとともに、みずほ銀行のグッドウィルG社に対する貸付債権を、Promontoria社に債権譲渡し、内155億円をデットエクイティスワップ(債務の株式化)という手法を使って、グッドウィルG社の優先株【※注1】に変えるというものである。

 しかしその再建策をめぐり、新たな対立が表面化している。上記再建策の承認を目的として、5月23日に開催される臨時株主総会において、筆頭株主であるユナイテッド・テクノロジー・ホールディングス(UT)が、事前説明を求める質問書を送ったのである。それに対する十分な回答が得られなければ、議決権を行使し、株主総会の議案に反対票を投じる可能性があるというのだ。

【※注1】優先株とは?
配当や、会社清算時の残余財産の分配が、普通株の株主よりも優先される株のこと。

提携交渉決裂で
思惑が外れたUT社

 筆頭株主であるUT社は同業である技術系の派遣事業をもつグループであり、グッドウィルG株を買い進めていた。今年2月5日時点で5%を超え、3月21日時点で大量保有を申告、発行済株式の30.4%(議決権の30.77%)を取得したとして筆頭株主となった。

 筆頭株主となったUT社は、4月11日、グッドウィルGに対して事業・資本提携を申し入れる。グッドウィルG側も株主総会におけるUT社の影響力を考慮し、UT社の提携案を協議するための会談の場を設けたが、交渉は決裂。協議は一度打ち切りとなった。グッドウィルG側としては、

 「UT社の事業提携案は実現可能性が乏しく、営業利益に対しても大きな効果はもたらさない。また、UT社が割当てを求める新株予約権の発行についても合理的な理由が認められず、債権者であるPromontoriaとの契約条項にも反する。そもそもグッドウィルGとUT社は人材派遣業において競争関係にあり、事業提携や取締役受け入れによって当社の営業秘密やノウハウがUT社に流出して当社の企業価値が毀損される恐れがある」

と回答。それを受けて4月29日、UT社は代替案として、グッドウィルGの子会社(バンテクノ/PSP)の株式譲渡および営業協力と採用協力の分野における緩やかな事業提携案を再度申し入れたが、グッドウィルG側はこれも認められないとして拒否。提携協議は完全に打ち切りとなった。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

100年に一度の経済危機に見舞われ、企業を取り巻く環境は大幅に悪化。“企業乱世”ともいえる激動時代の経済ニュースを、弁護士・永沢徹が法的な視点を加えながらわかりやすく解説する。

「弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く」

⇒バックナンバー一覧