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鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

日本の民主主義は終焉を迎えつつある!?
総選挙を機に考えたい新しいガバナンスと論憲

鈴木寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]
【第21回】 2014年12月11日
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若者は投票に参加しても
無意味なのか?

 こんにちは鈴木寛です。

 衆議院議員選挙が終盤戦にさしかかっています。ここから3日間、各政党、候補者とも死にもの狂いで論戦を展開することでしょう。しかし政治家、マスコミなどの“ステークホルダー”の盛り上がりとは対照的に、いつになく有権者が冷めたムードになっています。

 そもそも、解散直後に朝日新聞が行った世論調査では、消費増税の延期について「国民に信を問う」とした解散理由について「納得しない」が65%でした(「納得する」は25%)。安倍政権に好意的な産経・FNNの世論調査ですらも、解散理由について71%が「納得できない」と答えたあたり、国民の多数が戸惑っている様子がうかがえます。そのため、投票率の低下が予想され、小選挙区では戦後最低だった前回(59.65%)を下回る可能性も取り沙汰されています。

 投票率の低下に危機感を持ち、若者の政治参画を促そうとする方もいます。NPO法人「YouthCreate」で啓発活動をしてきた原田謙介さんたちは先日、マニフェスト大賞のネット選挙コミュニケーション戦略賞を受賞し、衆院選でも活躍が期待されます。その一方で解散直後、政治啓発運動をしている大学生がネット上で不祥事を起こし、彼に対する批判が巻き起こる中で若者の味方を“演じている”男性を「若者応援おじさん」、はては「プロ若者」という造語をネット上で見かけるようになりました。

 「プロ若者」とは、その昔、市民運動に職業的に携わっては、どだい実現しようがない主義主張をするよう人々を扇動する人物を揶揄した「プロ市民」をもじっているようですが、若者たちの政治参画を訴える人々をネガティブに批評する言説の根源には、「そもそも若者は世代別人口数で少数派なのだから投票に行ったところで何も変わらないじゃないか」という現実的見方があるのでしょう。

「プロ若者論者」たちが
本当に苛立っていること

 ただ、意識の高い若者を「プロ若者」と呼ぶ人のなかにも、おそらく「もっと地に足をつけた議論や知恵の絞り方があるのではないか」という大人の目からマスコミでもてはやされる「若者代表」に冷ややかな視線を送りつつも、裏を返せば、政治に失望したり諦めてしまい思考停止して投票を放棄したり、テレビでもニュースを全く見なくなったりするような若者たちよりも、不器用なイノベーターのやり方に不満を覚えつつも、若者に何とかがんばってほしいと思っている人も少なくないでしょう。

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鈴木 寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]

すずき・かん/元文部科学副大臣、参議院議員。1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、86年通産省入省。2001年参議院議員初当選(東京都)。民主党政権では文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化を中心に活動。党憲法調査会事務局長、参議院憲法審査会幹事などを歴任。13年7月の参院選で落選。同年11月、民主党離党。14年から国立・私立大の正規教員を兼任するクロス・アポイントメント第1号として東京大学、慶応義塾大学の教授に就任。同年、日本サッカー協会理事。15年2月から文部科学大臣補佐官として大学入試改革などを担当している。


鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

インテリジェンスとは「国家安全保障にとって重要な、ある種のインフォメーションから、要求、収集、分析というプロセスを経て生産され、政策決定者に提供されるプロダクト」と定義されています。いまの日本社会を漫然と過ごしていると、マスメディアから流される情報の濁流に流されていってしまいます。本連載では既存のマスメディアが流す論点とは違う、鈴木寛氏独自の視点で考察された情報をお届けします。

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