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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

アベノミクスの「トリクルダウン」が利きにくい背景
~第3段階に至った製造業のグローバル化~
――森田京平・バークレイズ証券 チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第157回】 2014年12月10日
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アベノミクスの来し方(1):
期待の抜本的な好転

 総選挙が14日に迫っている。このタイミングを捉えて、安倍政権が政策(アベノミクス)を通じて成し遂げたことと、道半ばのことを峻別しておく価値はあろう。

 前民主党政権(2009年9月~2012年12月)と比べると、アベノミクスの成果は主に「第1の矢」(大胆な金融政策)と「第2の矢」(機動的な財政政策)に集中していることが見て取れる。たとえば、「第1の矢」に関わる指標として物価(コアCPI)や株価(日経225平均株価)に注目すると、安倍政権成立後の8四半期における物価、株価の累積的な上昇率は、いずれも前民主党政権を大きく上回る(図表1参照)。

 「第2の矢」に当たる公共投資も同様だ。安倍政権は「2本の矢」を放つことで、「期待」を明確に好転させた。

注:現安倍政権と前民主党政権のスタート時点を100とし、かつ前民主党政権下でのその後の推移を全て100に固定した時の、安倍政権下での各経済変数の水準を図示。例えば、安倍政権下でのコアCPI(消費税率引き上げの影響除く)は8四半期目が102.7となっているが、これは安倍政権がスタートしてから8四半期目までのコアCPIの累積的な伸び率が民主党政権を2.7%ポイント(=102.7-100)上回ることを意味する。
出所:内閣府『国民経済計算』、総務省『消費者物価指数』、ブルームバーグよりバークレイズ証券作成

アベノミクスの来し方(2):
実体経済への波及は出遅れ

 一方、実体経済を広く見ると、安倍政権のパフォーマンスが前民主党政権を下回る分野もある。たとえば、実質GDP、実質個人消費、実質設備投資の累積成長率は、政権スタート後の8四半期目で評価すると、いずれも前民主党政権を下回っている(図表2参照)。

 期待の好転が実体経済に十分反映されていない。ここから総選挙後のアベノミクスの課題が浮かび上がる。それは「期待の好転をいかに実体経済(実質GDP)に反映させるか」である。

注:現安倍政権と前民主党政権のスタート時点を100とし、かつ前民主党政権下でのその後の推移を全て100に固定した時の、安倍政権下での各経済変数の水準を図示。例えば、安倍政権下での実質GDPは8四半期目が98.1となっているが、これは安倍政権がスタートしてから8四半期目までの実質GDPの累積的な伸び率が民主党政権を1.9%ポイント(=100-98.1)下回ることを意味する。
出所:内閣府『国民経済計算』よりバークレイズ証券作成
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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

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