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China Report 中国は今

国家戦略に織り込まれる中国のIFRSへのアプローチ

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第39回】 2009年11月26日
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中国が世界の中心であるためにその布石を打つ中国。中国はIFRSに限りなく近い独自の会計基準を使って、「引進来、走出去」(外資を自国に引き込み、自らが国際市場に打って出る)という国家戦略を遂行する。

 会計基準を国際的に統一していくという流れ、その回転速度がここに来て急速に速まった。日本でもIFRS(International Financial Reporting Standards)の適用をめぐり、上を下への大騒ぎである。一方、隣国の中国はどうか。

 IASB(International Accounting Standards Board、国際会計基準審議会)が公表する地図には、中国は「IFRSを採用または容認する国・地域」として青く塗られているが、導入国とみなすのは正確ではない。中国は、中国の会計基準は独自の基準であり、IFRSではないことを主張している。

 2006年、中国財政部は新しい会計基準(新企業会計準則、「準則:zhun ce」は中国語で基準の意)を発表した。企業会計基準(基本準則)は、「16の具体基準」と「38の改訂された基準(07年1月より施行)」を含んでおり、その大部分がIFRSを手本にして作られている(図参照)。中国は国内基準を整備するために、国際基準をお手本として利用した、というのがむしろ正しい解釈だといえる。

 中国が改革開放政策に切り替えたのは1979年。だが、93年に複式簿記が導入されるまでは、計画経済を色濃く残す単年度決算を行っていた。「損益計算書」という名称すら存在せず、そもそも「利益」という言葉は搾取の対象、「資本」という言葉もまた当時のイデオロギーに反するものだと捉えられていた。改革開放に転じた79年以降、多くの外資企業が進出したとはいえ、旧会計制度下では国営企業と外資企業の財務諸表は全く異なるものとなっていた。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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