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日本にカジノは必要か?

【新連載】
日本にとってカジノは何を生み出すか

古嶋 雅史 [アクセンチュア]
【第1回】 2014年12月26日
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安倍総理の前向きな発言で
一気に熱を帯びたカジノ待望論

 カジノをめぐる報道は今年急速に増えている。カジノをめぐる是非の議論は、すでに10年以上も続いているが、今年特に過熱したのには理由がある。

 今年3月の衆議院予算委員会にて、安倍首相が(カジノを含む)統合型リゾート(Integrated Resort 略称IR)に関して、シンガポールやマカオの成功例に触れながら、色々な課題はどのように克服していくべきかをよく議論しながらも、「私自身はメリットも十分あるなと思う」と発言したことが背景にある。

 この発言は日本の現職総理大臣として、カジノについて初めて前向きに言及したコメントであることから、解禁に向けて本格的に前進するのではないかと期待が高まっているのである。

 その後、政治情勢の変化もあり、先の国会で議員立法での成立を目指した統合型リゾートの整備を促す法案(いわゆるカジノ法案)は廃案となったものの、来年の通常国会では再度提出されるのではないかと思われ、カジノ法案をめぐる動きは今後も熱を帯びてくるだろう。

 そうした期待の声に比例するように、カジノに対する反対の声があがっているのも事実である。

 最近の全国紙による世論調査によると、60%程度の国民は反対もしくは慎重な考え方を持っているという。ギャンブル依存症や多重債務者の問題、また反社会的勢力の参入などが主な理由であるが、確かに慎重に議論すべきテーマである。

 では、日本にとってカジノは必要なのか、カジノは何を生み出すのか。今回は、客観的な立場にたって、賛成・反対の声を掘り下げてみたい。

カジノをめぐる報道は、
賛成/反対の二元論でいいのか

 カジノをめぐる議論における論点は、長く変わっていない。そして、これらの論点をめぐって賛成か反対かを問いかける報道が多い。簡単に言うと、経済波及効果が大きく、また観光や地方の活性化にもつながる一方で、社会にマイナスの影響を与える点が多いとされているため、進めるべきかどうかの議論は並行線をたどっているのだ。

 しかし、国民にとっては断片的な報道があまりにも多いと感じる。カジノをめぐる利権や日本への投資金額の大きさなどの目を引く情報を報じていても本質はわからない。日本が目指すとされる(カジノを含む)統合型リゾートとは一体どういったものなのか、正確なイメージを持っている国民はまだ少ないと言えるだろう。

 カジノはすでに色々な国・地域に存在しており、日本は最後発と言えるのだが、そうした日本周辺におけるカジノの状況についてもあまり語られていない。日本における統合型リゾートは本当に成功するのか、死角はないのか、誰がどんなメリットを享受できるのだろうか。

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古嶋 雅史 [アクセンチュア]

こじま・まさふみ/アクセンチュア 通信・メディア・ハイテク本部 メディアエンターテイメント統括 マネジング・ディレクター。京都大学工学部卒。1999年にトーマツコンサルティング(現デロイトトーマツコンサルティング)入社。同社の情報・メディア・通信グループ統括パートナーを経て、2011年にアクセンチュア入社。アクセンチュアではメディア・エンタテイメント業界統括として、メディア・エンタメ企業をはじめ、通信やハイテク企業に対するサービス事業検討も手掛ける。また、当業界に絡む政策提言を、総務省や経済産業省、内閣府等に対して継続的に実施。主な共著「パブリックディプロマシー戦略」など。

 


日本にカジノは必要か?

カジノをめぐる是非の議論は、すでに10年以上も続いているが、安倍首相の前向きな発言を受け、にわかに報道も過熱している。日本にとってカジノは必要なのか、そしてカジノは何を生み出すのか。本連載は、客観的なデータと海外の事例を含め、日本の統合型リゾートのあり方を考えていく。

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