ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
inside Enterprise
【第138回】 2009年6月4日
著者・コラム紹介バックナンバー
週刊ダイヤモンド編集部

野村のハイ・イールド債券投信
人気の裏で問われる「販売姿勢」

 野村證券が今年1月から販売している投資信託が、爆発的なヒットを記録している。

 この投信は「野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)」。これは、格付けがトリプルB以下のジャンク債を集めて作られており、高いリターンが期待できるが、リスクも高い。にもかかわらず、募集からわずか3ヵ月で約4500億円にも達する人気ぶり。野村は受付を一時停止、すぐさま同じような中身の投信を新規設定した。

 人気の理由は、昨年末に米国ハイ・イールド債の価格が下落し、短期的な利回りが上昇したためだ。「損失を取り戻したい個人投資家に人気」と、野村のある営業マンは説明する。

 ところが、その裏側で、顧客軽視ともいうべき販売姿勢に疑問の声が上がっている。投資家が望んでいないにもかかわらず、保有する商品を損切りさせて販売しているケースが少なからずあるという。

 ある営業マンは、「安全性を重視する顧客に2本の投信を解約させ、1000万円分のハイ・イールド債券投信に乗り換えさせた」と明かす。この商品の構成は、ダブルBとシングルBで約6割を占める。昨年12月に5%だったダブルB以下のデフォルト率は、今年3月には9%にまで上昇しており、すべての顧客に薦められる商品ではない。

 さらに、野村は米国ハイ・イールド債の海外ETFも取り扱っている。ETFは取引所に上場する投信のことで、株式のように売買が可能だ。販売手数料や保有にかかる費用も安く、投資家にとってメリットは大きい。

 だが、営業マンは「ETFを一緒に案内はしていない」(支店営業部)。それは、「ETFを販売しても証券会社は信託報酬を得られない一方、この投信の販売手数料は3.15%とかなりおいしい率だからだ」と、複数の業界関係者は指摘する。

 これに対し野村幹部は「投資家がETFを求めているかといえば、必ずしもそうではない」と反論する。

 野村は現在、国内営業部門の商品販売額の目標を月間1兆円としている。だが、自社の利益を追求し過ぎると、顧客の信頼を失いかねない。

(『週刊ダイヤモンド』編集部  池田光史)

Special topics
ダイヤモンド・オンライン 関連記事


DOLSpecial

今週の週刊ダイヤモンド

2014年8月2日号

週刊ダイヤモンド最新号

定価710円(税込)

週刊ダイヤモンドのサイトへ
特集

オジサン世代に増殖中!
職場の「お荷物」社員

      
  • Prologue 「お荷物」社員はなぜ生まれるのか
  • 働かないオジサン対策は日本企業の最重要課題だ!
  • 図解 どの世代も逃げられない働かないオジサンのリスク
  •     
  • Part 1 職場を萎えさせる「問題児」社員の実態
  • あなたの周囲にもいる!? 働かないオジサン7分類
  • あなたは大丈夫!? 働かないオジサン度チェックチャート
  • 「お荷物」社員の取扱説明書
  • 主要上場企業直撃アンケート シニア活用の実態
  •   
  • Part 2 働かない社員を量産 大企業人事部の"大罪"
  • 大量の採用と削減繰り返すだけ 年々巧妙化する企業のリストラ
  • Interview 秋山謙一郎●ジャーナリスト
  • 理想忘れた放漫経営が招いたソニー「追い出し部屋」の泥沼 清武英利●ジャーナリスト
  • Interview 野田 稔●社会人材学舎代表理事
  •   
  • Part 3 社員高齢化で待ったなし 「お荷物」を戦力化せよ
  • 50歳を過ぎても変われる! オジサン再生「六つの秘策」
  • Column 人材不足の中小企業で戦力化 ものづくり支えたシニアの技
  • Column 「お荷物」社員の目が輝く 人事担当者必見の研修
  • Column 顧問で派遣、クラウド活用 経験生かし定年後も活躍
  • Interview 三浦雄一郎●プロスキーヤー・冒険家
  
underline

週刊ダイヤモンド1冊購読

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


inside Enterprise

日々刻々、変化を続ける企業の経営環境。変化の中で各企業が模索する経営戦略とは何か?『週刊ダイヤモンド』編集部が徹底取材します。

「inside Enterprise」

⇒バックナンバー一覧