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野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道

「完全一致検索」で引用の原典を探し出す

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第19回】 2008年3月31日
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 検索したい対象の名前が完全にはっきりしている場合には、検索語をダブルクォーテーションでくくる。これは、「完全一致検索」、または「全文一致検索」と呼ばれる。書籍を見出したい場合などによく使われる。
私が大変面白いと思っているのは、「引用句について完全一致検索を行ない、元の作品を探し出す」ということだ。私が感激したいくつかの経験を述べよう。

 SF作家アイザック・アシモフの出世作は、『Nightfall』 という短編だ。この冒頭に、ラルフ・ウォルド・エマーソンの「もし星が千年に一夜だけ現われるのなら……( If the stars should appear one night in a thousand years....)」という言葉が引用されている。

 ところが、出典が記されていない。私はこの文章の前後を何とか知りたくて、原典を必死で探した。アメリカに出張したときに、書店でエマーソン全集が並べてある場所に座り込み、片っ端から調べたこともある(アメリカの書店には、床に絨毯が敷いてある店が多い。座り込んで長時間本を見ている人が大勢いる)。しかし、数時間調べたにもかかわらず、探し出せなかった。

 ところがインターネットで検索エンジンが使えるようになってから完全一致検索を試みたところ、あっという間に見出せた。

 この言葉は、エマーソンの『Nature』 という作品のなかにある(WEB上で読めるのはここここなど)。

 邦訳もあり、岩波文庫『エマソン論文集』上巻に収録されている。だから、書籍でも見出せないわけではないのだが、実際には非常に難しい。検索エンジン以前にインターネットで調べたことがあるが、そのときにも見出せなかった。これは、検索エンジンが登場したことによって初めて可能になったことだ。

 (検索には関係がないことだが)ついでに述べると、『Nightfall』が収録されているのは、『Science Fiction Hall of Fame』という本で、私は留学時に購入した。しかし、その後、紛失してしまっていた。20年ほど前にシアトルの郊外で会議があったとき、その村の古本屋で偶然に再発見した。感激して、「この店は素晴らしい。長年探していた本があった」と言ったら、女主人は、「うちに来る客はみんなそう言うのよ」とすましていた。

 似た例を挙げると、アーネスト・ヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』の冒頭に、この題名の言葉(For Whom the Bell Tolls)が含まれている詩の一部(No man is an Island, intire of it selfe; every man is a peece of the Continent; a part of the maine; if a clod bee washed away by the sea, Europe is the lesse, as well as if a promontorie were, as well as if a mannor of thy friends or of thine owne were; any mans death diminishes me, because I am involved in mankinde; and therefore never send to know for whom the bell tolls; it tolls for thee.)が引用されている。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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