「財務省が日本を支配」は陰謀論と言い切れない?元国税調査員が明かす「危険な権力集中」の実態Photo:PIXTA

いま、消費税の減税をめぐって与党と野党が激しく対立している。だがこのまま選挙が行われ、減税勢力が勝ったとしても本当に消費税は下がるのか?その背景には、予算・人事・徴税を握る財務省キャリア官僚の存在がある。自民党も影響されてしまうという財務省の力と、その中で働く職員の素顔に迫る。※本稿は、大村大次郎『本当は怖い税金の話 元国税調査官が書いた 知らないと損する裏知識』(清談社Publico)の一部を抜粋・編集したものです。

予算も人事も思いのままに動かす
日本を支配する最強官庁

 昨今、よく「財務省が事実上、日本を支配している」というようなことがいわれます

 その一方で、「そんなのは陰謀論だ」「たった1つの官庁が日本全体を支配しているわけがない」というような論調も見られます。

 実際は、どうなのでしょうか?

 元国税調査官の観点でいいますと、「財務省が事実上、日本を支配している」というのは、限りなく真実であるといわざるを得ません。

 もちろん、財務省は建前の上ではただの1つの省庁にすぎません。しかし、実質的に日本の政治経済の中枢ポストを占めており、「事実上、日本の政治経済の中心を占めている」ことになっているのです。

 まず財務省は、事実上、「予算の策定権」を持っています。

 国家予算というのは、国家権力の源泉であり、それを握っているということは、相当のパワーを持っていることになります。予算は国会が決めるという建前になっていますが、政治家は細かい数字はわからないので、現実的に予算の策定権を握っているのは財務省なのです。

 しかも財務省が持っている権力は、それだけではありません。