今回は、連載第4回で解説したデジタルマーケティングの構成要素としての「物の軸」と「人の軸」(クッキーまで→コンバージョンまで→リードデータまで→ホットデータまで)のうち、「物の軸」にフォーカスした失敗研究を行う。
現在、デジタルマーケティングを含めたマーケティング全体が「ファクトデータに基づくマーケティング」に進化しており、既存の組織でWebマスターがアドテクを取り入れる発想だけでなく、根本的に組織的な対応を行う企業が出てきた。
そういう意味で、今回の「失敗4」は、企業の競争力に直結するものではないかと考えている。
Webマスターの役割が
大きく変わってきた
Webマスターは、企業、制作スタッフ、ユーザーの三者間のハブ的な役割を果たす。配下のプロデューサーやプロジェクトマネージャー(対企業)、Webディレクターやコンテンツプランナー(対制作スタッフ)、社内ユーザーやサポートセンター(対社内ユーザー)を束ねる役割で、オウンドメディア、ソーシャルメディアなどのWebメディアにおけるコーポレート・ブランディングのガバナンスに責任をもっている。
グローバル企業であれば、グローバルに展開する商品は、「個」として地域を拡大したり、「個」として情報を深く掘り下げ、コールセンター(社内)やオム二チャネル(社外)に展開したいはずだ。
しかし、Webマスターにより束ねられた企業のWebサイトが、ビジネスという側面で「個」に責任を持つのか、「個」を束ねるという意味で「横断」に責任を持つのかが曖昧な形で、職務として「個と横断が混在」しているのが、現在のWebマスターの属する組織の状況ではないだろうか。
Webマスターという職務は、連載第1回にあるように、90年代後半から企業がWebサーバーを構築する必要性が高まり、社内外からの専門家職員(Professional employee)を活用し、各社のホームページを作ることが目的ではじまった。
ホームページが巨大化し、複雑化してきたなかでも、企業のブランディングを第一に考え、コンテンツの正確性や運用プロセスのルーティン化、運用のガイドラインやルール化などのガバナンスを重要視してきた。