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経営のためのIT
【第33回】 2015年1月9日
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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

IT活用に悩む企業の声から選んだ課題はこれだ
――2015年に注目すべき10の戦略テーマ(前編)

ITRでは、毎年行っているIT投資動向調査の結果、クライアント企業から受ける質問や依頼されるブリーフィングの内容、およびクライアント企業へのヒアリングを加味し、多くの大手企業にとって重要と考えるIT戦略テーマを選定している。今回は、2015年に向けてITRが抽出した10の戦略テーマにうち前半6つについて概要、予測およびキーワードを提示する。中期IT戦略や次年度のIT投資計画の立案の際に参考にしてほしい。

<デジタルビジネスへのシフトを促進する戦略テーマ(1~3)>

 社会・産業のデジタル化が進む中、IoTやクラウドを活用してユーザー企業自身がデジタルビジネスを推進しようとする動きが活発化しつつある。ITはもはや舞台裏の黒子ではなく、競争優位獲得や新規事業展開における牽引役としての役割を担うことが期待されている。

1.デジタルビジネス創造に向けた
事業・業種特化型ITの強化

 ユーザー企業が、自社のコア事業の強みや保有する情報を活用してデジタルビジネスを推進し、それを事業化する動きが活発化しつつある。このようなデジタルイノベーションの時代には、共通ITインフラや業務システムの提供といった従来の企業ITの領域だけでなく、研究開発、設計製造、販売物流などの分野で利用される事業特化型ITおよび業種特化型ITの重要性が高まる。

 企業は、IoT、ビッグデータ、パブリッククラウドなどのテクノロジーを活用して、新規事業の創出、ビジネスモデルの転換、新たな顧客価値の創出、既存事業の差別化などを模索するだろう。

 先進的な一部のユーザー企業は、創出したデジタルビジネスをSaaSなどの形態で提供する有力な事業者となると考えられる。今後、デジタルビジネスにどのように関わるか、どのような役割を果たすかが、IT部門の将来の組織ミッション、ITスタッフの人材像、求めるスキル要件に大きな影響を及ぼす。

2.デジタルマーケティングへの
取り組み強化

 長らく継続されてきたマスマーケティングは十分な効果を発揮できなくなり、マーケティング部門はデジタル技術を駆使したマススケールでのワンツーワン・マーケティング確立のための対応を迫られている。

 また、デジタルマーケティングには、従来の大規模な企業情報システムと同様、もしくはそれ以上の高い運用要件が求められると同時に、ビッグデータの分析など、より高度なIT活用によるビジネスへの直接的な貢献を求められることから、マーケティング部門だけでこれを実現することが困難となる。

 この分野は、IT部門がこれまで培った企業システムの構築と運用ノウハウを活かし、新たな役割を実現するための領域となりえる。マーケティング部門とIT部門は、これまでの自部門のやり方や価値観に固執せず、市場と技術の潮流を見極め、将来のあるべき方向を見据えた新たな価値観に基づいた関係を構築することが求められる。

SPECIAL TOPICS

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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