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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

世界の「金利水没マップ」拡大
運用機会は創出できるか?

――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト

高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第161回】 2015年1月28日
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日本に続きスイス、ECBまで
世界の金利「水没マップ」

 図表1(2015年1月23日付)は、「世界の金利の『水没』マップ」と題した一覧表である。これは基本的に、国別・年限別の国債利回り、すなわち、イールドカーブ状況を示す。ここでは、マイナスになった(水没した)ゾーンを濃く示しており、さらに0%以上0.5%未満、0.5%以上1%未満、1%以上と徐々に色を薄くして示している。

 こうした色の濃淡で示した図表は、リスク管理などで「ヒートマップ」として示されることが多いが、これはむしろ「フローズンマップ」であり、金利機能が喪失して「麻酔」がかかったような状態だ。

 具体的には、スイスでは1月に中銀が極端なマイナス金利策をとったことで、14年ゾーンまで水没している。日本はおおむね5年前後までが、浮いたり沈んだりしている状況にある。欧州はドイツを中心に5年ゾーンまで水没していたが、1月22日にECBが国債購入を中心とした量的緩和策を決定したことで、水没する範囲がより広がった状況にある。

 欧州の水没はECBによる量的緩和の決定を先駆けて織り込んで生じていたが、実際にECBの国債購入が始まり需給が締まることで、今後も水没地域が拡大する可能性が高い。こうした状況は、昨年10月31日の日銀の追加緩和以降に生じた現象でもある。

官制相場で市場機能は喪失
「麻酔」がかけられた債券市場の死

 次ページの図表2は、日本のイールドカーブの推移を示している。5年までのゾーンは、ほとんど0に近い水準まで金利は低下した状態にある。今日、日銀の当座預金の付利金利が0.1%であることを考えれば、キャリーの観点から見て、7年までのゾーンで債券運用を行う必要はなくなるとも考えられる。

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高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

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