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今週のキーワード 真壁昭夫

なぜ政策を総動員しても景気回復が本格化しないか?
金利低迷と期待収益率で考える資本主義の終焉リスク

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第341回】 2014年9月2日
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これだけの低金利だと経済の制約要因に
資本主義が抱える「避けられない欠陥」

 足もとでわが国の長期金利(10年物国債利回り)は、0.5%を下回る水準まで低下している。同じく、ドイツの10年物国債の金利も1%を下回る史上最低水準だ。米国債の10年物金利も2%台前半と低位安定が続いている。

 主要国で低金利が続いている背景には、リーマンショック以降の景気の落ち込みに対して、主要国の中央銀行が景気を刺激するために金融緩和策を取っていることがある。金融緩和策とは、基本的に輪転機を回してお金を刷り、それを市中に供給することだ。

 ほとんど使い切れないほど多額のお金が供給されているため、お金を借りる人が少なくなり、金利に低下圧力がかかることになる。

 景気を刺激する意味では金利が低いことは良いことなのだが、一方でお金を金融機関に預ける人たちとっては、都合の悪いことだ。預金をしてもほとんど金利を受け取ることができないからだ。

 これだけ金利が下がってしまうと、お金の流れが阻害されることも懸念される。もともと資本主義の仕組みでは、投資家がそれなりの利益を期待できるからこそ、株式や債券に投資する。ところが、期待できる収益率が大きく低下すると、投資家としても「投資を止めてしまおうか」という判断になりかねない。

 最近、世界的な需要不足や格差の拡大によって経済活動が制約され、その結果、期待収益率が低下し、本来の資本主義のメカニズムが働かなくなるのではないかとの指摘が目につく。そうした状況を考えると、これから資本主義経済はどこに向かうのだろうか?

 資本主義の基本は、個人が持っている「人よりも幸福になりたい」という欲求によって、人々が努力し、新しい生産手法や革新的な製品ができることで、経済は常に発展していくという、理念に基づいている。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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