経営 X 人事

人事部員に一体感がなく
協力し合いません

  A41枚でできる問題共有法

・定期的にお互いの業務を共有する

 上記のような会議は明らかにメンバーの協力姿勢を良くすることになりました。

 会話においても笑顔が増え、協力しようとするスタンスが増えていきました。

 しかしまだ悩んでいたことは「これからまた個々人の悩みは増え続ける。どうやって以前やったような問題の共有をしようか」というものでした。

 先ほどのポストイットを使う会議は数時間はかかるため、しょっちゅうできるものではありません。

 しかし個々人の悩みを私が都度相談に乗っているのでは時間もかかり、できる限り人事メンバー同士で協力してもらうことができないか悩みました。

 結果的に形となったのが、「週に1度、30分だけでいいから全員で進捗を共有する」というものでした。

 これはまずA4の紙一枚を全員に渡し、縦にしてもらった上で「自分の名前」「先週のトピックス」「今週やること」の3つを5分程度で書いてもらいます。

 5分になったら今書いている文章までで止めてもらい、今度は全員で回覧をします。

 これは会議の手法のひとつ「ぐるぐるシート」と呼ぶもので、30秒ごとに他の人の紙を見て、気になることは色ペンでコメントと自分の名前を書くというものです。

 まずは右回しか左回しかを決めて、手元にある自分の紙をとなりの人に渡します。

 事前に一人だけタイムキーパーを決めて、30秒ごとに「回してください」という言葉をかけてもらいます。

 タイムキーパーの指示があったら必ず隣の人に回すようにして、その30秒の間にコメントを書き加えるのです。

 共感したことがあったら「確かに!スズキ」「私も困ってる!ヤマダ」などのひとことを書いてもらうイメージです。

 30秒ごとに回覧するだけなので、10人いても5分程度で自分の紙が一周して手元に戻ってきます。

 手元に戻ってくる紙を見ると、他の人事のメンバーからさまざまなコメントが書かれていますが、共感してくれたり疑問を投げかけられたりといった「紙を通じた対話」が進み、まるで通信講座の先生から添削とともに激励のコメントを書かれたような気分になります。

 これがお互いへの業務の関心を生み、相互理解を促します。

 書いてもらった紙は一度預かり、コピーして全員に返しますが、必ず再度目をとおしてくれます。

 他者からのフィードバックというのは本当に気になるものですし、それが共感してくれたりポジティブなものであればうれしいものです。

 もちろんコピーを預かった責任者である私も、改めて熟読し手を打つべきものを管理職に指示したり、管理職と相談して解決策を決めるようにしました。

 このぐるぐるシートは「発言する→フィードバックがもらえる→解決できる」というサイクルになりました。

 発言すればするほど周囲の協力がもらえると体感すると、自然と発信が増えたり他の人に対して協力する余裕が生まれてくるので、このシートに限らず「発言すると、協力してくれる」というチームへの信頼感を増やしていくことが大切です。

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曽山哲人

1974年神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。1998年伊勢丹に入社、紳士服配属とともに通販サイト立ち上げに参加。1999年、20名程度だったサイバーエージェントに入社。インターネット広告の営業担当として入社し、後に営業部門統括に就任。2005年に人事本部設立とともに人事本部長に就任し2008年に取締役就任。現在は「採用・育成・活性化・適材適所」など人事全般を手がける。社外にもブログやソーシャルメディア、著書による情報発信や人材マネジメントや組織活性化等、幅広いテーマで講演・教育活動も積極的に行っている。近著に「クリエイティブ人事 個人を伸ばす、チームを活かす」(金井壽宏・神戸大学大学院教授と共著。光文社新書)がある。


曽山が答える人事の疑問

会社が急拡大する中で、さまざまな人事施策をリードし、挑戦的な企業風土をつくり上げてきたサイバーエージェント取締役の曽山哲人氏が、人事部門で働く方の疑問や悩みに答える。
 

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