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7つの失敗から学ぶ デジタルマーケティングの原則

【失敗5】

グローバルWebとオム二チャネルの
具体的な失敗研究

田中猪夫 [一般財団法人 日本総合研究所 特命研究員]
【第6回】 2015年2月6日
著者・コラム紹介バックナンバー
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 この連載は、全体的な視点から企業のデジタルマーケティング導入と運用に関する7つの失敗研究を行っているが、今回はデジタルマーケティングの個別機能の実装プロジェクトに取り組む際の前段階と、失敗研究のプロセスを省略することによる失敗を考察する。

失敗に対する3つのパターン

TOC(制約条件の理論)を発案したエリヤフ・ゴールドラット博士は、インタビュー(「イノベーションに必要なブレークスルーは、もうあなた自身が発明している」)で、以下のように語っている。

 「愚か者は失敗に学ばず、才人は己の失敗に学ぶ。そして賢人は、他人の失敗からも学ぶのだ。」

 ゴールドラット博士もそうであるように、ユダヤ人の思考パターンには「人」と「行為」を分けるカルチャーがある。日本人は、人を褒めると伸びるというが、人は褒められると傲慢にもなる。そこで、ユダヤ人は人を褒めず、「行為」を褒める。あなたの行為や発言や作り上げたものがすばらしいのであって、あなたがすばらしいのではないと考える。

 逆に捉えると、あなたの失敗とあなたは別ということになり、失敗そのものを直視し、「失敗したあなた」を責めることはない。

 しかし、ゴールドラット博士のインタビューにもあるように、「本当に恐れるべきは、失敗そのものではなく、二度、同じ失敗を重ねること。それは最初の間違いに気付かなかったという証しでしかない。」と、失敗を繰り返す愚かさを戒めている。

「失敗から何も学ばず、同じ失敗を繰り返す人⇒愚か者」
「己の失敗から学び、同じ失敗を繰り返さない人⇒才人」
「他人の失敗からも学ぶ人⇒賢人」

 この失敗に対する3つのパターンのうち、特に「他人の失敗から学ぶ」は、人と行為を分けるカルチャーから生まれるもので、失敗の特性(からくり)を明らかにし(知恵にする)、組織的に積み重なることが重要なのである。

 一般的に、日本では「失敗を許すカルチャーが大切」という表面的な雰囲気の話になり、「失敗そのものを許す」のか「人を許す」のかが曖昧で、致命的な失敗につながる恐れを内在したままの組織がある。

 前提として失敗と人を分けることがベースにあり、失敗の特性(からくり)を明らかにし、同じ失敗を二度と起こさない対策をビルトインすることこそ、本来の「失敗を許すカルチャー」(Nice Try!)につながるのではないだろうか。

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田中猪夫 [一般財団法人 日本総合研究所 特命研究員]

1959年11月19日、岐阜県生まれ。日本版システム工学を専門とする。20代に、当時発売したばかりのPCでのVARビジネスを創業。30代に、イスラエルITテクノロジーの日本への展開に尽力。40代には外資系ITベンダーの日本法人のマネジメントを務める。現在は一般財団法人日本総合研究所の特命研究員。「デジタルマーケティング経営研究会」を主催・運営。主な著書 『あたらしい死海のほとり』。問い合わせはこちらまで。


7つの失敗から学ぶ デジタルマーケティングの原則

なぜデジタルマーケティングに失敗するのか。問題は経営層、マネージャー層、そして現場のマーケターそれぞれにある。筆者が目撃した7つの失敗事例を分析し、それぞれの問題点と解決策を考える。

「7つの失敗から学ぶ デジタルマーケティングの原則」

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