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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

グルジア問題で急加速する
「米ロ新冷戦」水面下の構図

週刊ダイヤモンド編集部
2008年9月19日
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ロシアのお膝元、旧ソ連諸国の一国であるグルジアで紛争が勃発した。ロシアのプーチン首相は、「戦争の張本人は米国共和党政権」と実質的に名指しで批判。米国、ロシアの関係は急速に悪化している。しかし、この角逐はなにも今に始まったことではない。多極化する世界情勢のなかで再び対立姿勢を深める「米ロ新冷戦」の構図を解き明かす。(文:国際関係アナリスト 北野幸伯)

 北京オリンピックの開会式を翌日に控えた8月7日、中央アジアのグルジアで紛争が勃発した。発端は、グルジアの自治州・南オセチアの独立運動。独立を阻止したいグルジアは、南オセチアの州都ツヒンバリに進攻し、1600人の民間人が犠牲になったと報じられている。

 南オセチアを支持するロシア軍は即座に反撃を開始し、戦闘状態に突入した。小国グルジアに勝ち目はなく、ロシアの圧倒的優勢が続いた。

 8月12日、フランスのサルコジ大統領が6項目の和平案を提示する。内容は(1)武力不行使、(2)戦闘全面停止、(3)人道支援の保障、(4)グルジア軍の常駐地点への撤退、(5)ロシア軍の戦闘開始前の地点への撤退。国際メカニズムの導入までは、ロシア平和維持軍が追加的な安全措置を履行、(6)アプハジア自治共和国、南オセチア自治州の安全と安定に関する国際協議の開始――である。

 16日までに両国大統領は、サルコジ提案に沿った停戦合意文書に署名した。

 この紛争を、グルジアの国内問題にロシアが首を突っ込んだあげくの出来事ととらえるのは安易に過ぎよう。グルジアにとって、南オセチア攻撃は「ロシアと戦争する」に等しい自殺行為。グルジアのような小国が、独断で大国ロシアに仕掛けるとは考えにくい。

 では、誰がこの紛争を仕掛けたのか。

 答えは「米国」である。

 今回の紛争で注目すべきは米英、特に米国メディアの露骨なロシア批判だ。紛争の期間中、グルジアのサアカシビリ大統領はCNNなどに出演。「ロシアは世界の目がオリンピックに集中しているときを狙って、グルジアへの侵略を開始した」と繰り返し発言した。だが、最初にグルジアが南オセチアと、そこにいるロシアの平和維持軍を攻撃した事実はほとんど報道されていない。

 8月7日といえば、プーチン首相はオリンピック開会式に出席するために北京におり、メドベージェフ大統領も休暇中でボルガ川の川下り船に乗っていた。そんな都合の悪い時期に攻撃され、泡を食ったのはロシア側だろう。

 ロシアのラブロフ外相は「グルジアの冒険主義に米国の軍事支援が利用された可能性がある」と名指しで米国を批判したが、情報戦においては「悪の帝国ロシア」を印象づけることに成功した米国に軍配が上がった。

資源争奪で燃え上がる
米国・ロシアの「憎悪」

 1991年にソ連が崩壊し、冷戦が終わった今、なぜこのような米ロの敵対関係が生まれているのか。ソ連崩壊後の歴史をたどれば、答えが見えてくる。

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