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野口悠紀雄 緊急連載・アベノミクス最後の博打

「物価上昇率2%」目標失敗で
成長率がプラスに転じたという皮肉

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第13回・最終回】 2015年2月19日
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 先頃発表された2014年10~2月期のGDP速報値は、デフレ脱却を経済政策の目標とするのが誤りであることを明確に示している。物価が下落したために、GDP成長率がプラスに転じたのである。

消費者物価が下落して
消費が回復した

 2014年10~12月期の実質GDP(国内総生産・季節調整系列)は、増加に転じた。これは、消費者物価が下落したためだ。

 13年1~3月期以降の実質GDPの推移を見ると、図表1に示すとおりだ。13年7~9月期にピークになった以後は、減少を続けてきた(ただし、14年1~3月期に、消費税増税前の駆け込み需要で一時的に増加したことを除く)。

 こうなったのは、消費者物価上昇率が13年2月以降プラスになったためだ。それが、時間遅れを伴って、13年7~9月期以降の消費支出を減らしたのである。消費はGDPの6割程度を占めるため、その動きがGDPの動向に大きな影響を与える。

 ところが、14年11月以降は、消費者物価が前月比で下落に転じた。これは、14年8月までは円安が進行せず、秋からは原油価格が下落したためである。このため、14年10~12月期の消費支出が回復した(図表2参照)。そして、同期のGDPを押し上げたのである。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 緊急連載・アベノミクス最後の博打

アベノミクスのメカニズムは、「金融緩和を行なう」という宣言によって、円安への投機を煽ることだ。円安によって輸出産業は潤うが、実体経済は改善していない。実際は、円安が経済成長率を抑えている。これは、アベノミクスの基本が間違っていることを示している。

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