先頃発表された2014年10~2月期のGDP速報値は、デフレ脱却を経済政策の目標とするのが誤りであることを明確に示している。物価が下落したために、GDP成長率がプラスに転じたのである。
消費者物価が下落して
消費が回復した
2014年10~12月期の実質GDP(国内総生産・季節調整系列)は、増加に転じた。これは、消費者物価が下落したためだ。
13年1~3月期以降の実質GDPの推移を見ると、図表1に示すとおりだ。13年7~9月期にピークになった以後は、減少を続けてきた(ただし、14年1~3月期に、消費税増税前の駆け込み需要で一時的に増加したことを除く)。
こうなったのは、消費者物価上昇率が13年2月以降プラスになったためだ。それが、時間遅れを伴って、13年7~9月期以降の消費支出を減らしたのである。消費はGDPの6割程度を占めるため、その動きがGDPの動向に大きな影響を与える。
ところが、14年11月以降は、消費者物価が前月比で下落に転じた。これは、14年8月までは円安が進行せず、秋からは原油価格が下落したためである。このため、14年10~12月期の消費支出が回復した(図表2参照)。そして、同期のGDPを押し上げたのである。