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経済は堅調でも
米国が利上げを急ぐ必要がない理由

――土屋貴裕・大和総研シニアエコノミスト

土屋貴裕 [大和総研シニアエコノミスト]
2015年2月9日
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イエレン議長の声明を報じるテレビ。ゼロ金利維持に金融市場はどんな反応を示すのか
Photo:AFLO

最大の注目点は金融政策の行方
FOMCの声明文の基本は「維持」

つちや・たかひろ
1997年名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程前期修了。同年大和総研入社。経済調査部、内閣府出向、投資戦略部等を経て、2012年4月より現職。担当は米国経済全般。

 米国の内需は比較的堅調であり、2015年の最大の注目点は金融政策の変更となろう。2015年1月27日-28日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、実質上のゼロ金利政策を維持し、保有する資産規模を維持することを決定した。

 ゼロ金利政策を維持する期間について、前回のFOMC(2014年12月)で変更した声明文のうち、金融政策の正常化を開始するまで「忍耐強く」(patient)なれる、という表現を維持した。忍耐強くなれる期間は2会合程度先までとすれば、3月と4月のFOMCでの利上げの可能性は低いことになる。

 一方で、2014年10月までのFOMCの声明文を引用していた「ゼロ金利政策を相当な期間(considerable time)継続する」との文言は削除された。前回の会合で声明文を変更した際に、市場の混乱につながらないよう慎重を期して「忍耐強く」と併記したと見られるが、新たな文言が市場で周知されたと判断され、「相当な期間」という文言を残す必要性がなくなったと考えられよう。

 今回は2015年最初の会合で、地区連銀総裁の投票権者が変わったが、全会一致となった。今年新たに投票権を得た地区連銀総裁のうち、ハト派とされるシカゴ連銀のエバンス総裁と、タカ派とされるリッチモンド連銀のラッカー総裁が反対票を投じる可能性があったが、全会一致となったことで、大部分はコンセンサスを得た結果だったと考えられる。

 次回のFOMCは、2015年3月17日-18日に開催され、FOMC参加者の経済見通しの公表とイエレン議長の記者会見が予定されている。さらに、その先の記者会見があるFOMCは6月であり、6月のFOMCで利上げを開始するのであれば、3月のFOMCで「忍耐強く」なれるという文言が修正されることが想定され、注目される。

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