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エコカー大戦争!

「水素社会」礼賛報道の陰で
燃料電池車が迎える苦境(下)

燃料電池車は「死の谷」を越えられるか?【車両規格編・下】

桃田健史 [ジャーナリスト]
【第198回】 2015年2月20日
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>>(上)より続く

GMの量産化は2020年を目途
ホンダとの技術連携でトヨタを上回る特許数

 本稿(上)冒頭で引用した、GMジャパンのプレゼンテーションで、「パテント・リーダシップ」というスライドがあった。これは2002~2012年、アメリカでの燃料電池関連の特許取得件数をメーカー別、さらに取得年度別に示したものだ。

アメリカにおける燃料電池車の特許取得の状況。GMがトップで、ホンダ、トヨタが追う展開
Photo by Kenji Momota  拡大画像表示

 それによると、取得数のトップはGMで、第2位がホンダ、そして第3位がトヨタ。これに、サムスン、UTCパワー、日産、バラード、パナソニック、プラグパワー、デルファイ等、自動車・電機・そして燃料電池専門メーカーが続く。

 この特許取得数のトップ2、GMとホンダは2013年7月、燃料電池開発における技術提携を発表。今回、GMジャパンの発表では、ホンダの栃木研究所、およびGMの米ミシガン州ポンティアック市内の研究所で燃料電池車を、さらにGMのドイツ国内研究所で水素インフラの研究開発を進めており、両社の共同開発型の燃料電池車は2020年頃の量産化を目途としているという。

 なお、ホンダ単独での燃料電池車は、すでに世界で200台がリース販売された「FCXクラリティ」に次いで、コンセプトモデルを公開済みの新型車両が近年中に市場投入される見込みだ。

日本自動車工業会の発表資料。燃料電池車の基準について、国連での協議のフェーズ2は2020年頃に確立されるとの予想するが、先行きは不透明
Photo by Kenji Momota  拡大画像表示

 筆者は各方面への取材を通じ、2000年代前半から中盤にかけての第一次燃料電池車ブームの前後、さらに2009年の同社の経営破綻の前後に、GMの次世代車開発に対する投資方針が大きく変わったと考えている。

 GMは2007年から中型SUV「イクイノックス」をベースとした燃料電池実験車を合計119台製作し、延べ6000人以上が約7年間にわたり公道走行を行なっている。そうした基礎データ、さらにホンダとの特許の共有における基礎および量産を見越した応用分野での研究開発を進めている。

 だが、GMはあくまでも冷静だ。現時点では、トヨタが進める早期の燃料電池量産化の流れに同調する構えを見せていない。

 こうしたGMの動きが、先に紹介した国連でのGTRに直接的に結びついている。
 アメリカの自動車産業界ではよく「GMとSAEは表裏一体」と称される。

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桃田健史 [ジャーナリスト]

日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中


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