1月6~9日、今年も米ラスベガスで世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」が開催された。その初日に話題をかっさらったのは、家電メーカーではない。トヨタ自動車である。

トヨタが次世代車の本命に据える燃料電池車「ミライ」。燃料電池スタック(約1970件)、高圧水素タンク(約290件)、燃料電池システム制御(約3350件)の特許を2020年末まで無償開放する
Photo by Mitsufumi Ikeda

 この日、トヨタは水素燃料で走る燃料電池車に関連し、単独で保有する約5680件の特許を無償開放すると発表。ライバルだろうが全ての特許を“タダ”で使えるというからインパクトがあった。

 トヨタは昨年12月、世界初となる燃料電池車「MIRAI(ミライ)」の市販にこぎ着けたが、初年の予定販売台数はわずか700台。導入期にあえて他社の参入を促すことで、燃料電池車を本格的に普及させるのが狙いだ。

 その背景には、「ハイブリッド車の教訓があったのでは?」との見方もある。トヨタは、ハイブリッド車の関連特許を無償開放はしていない。確かに世界の新車販売に占めるハイブリッド車の比率は、トヨタが初代「プリウス」を市場に投入してから17年がたった今も数パーセントにとどまっている。