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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

トヨタに牙をむくテスラ
間に立つパナソニックの憂鬱

週刊ダイヤモンド編集部
2015年2月10日
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 鬱積した怒りが爆発したかのようだった。

 1月中旬、米デトロイトで開催された自動車の国際見本市。出展していた米テスラモーターズのイーロン・マスクCEOは、記者会見で水素を使う燃料電池車(FCV)について問われると、「extremely silly(非常に愚かだ)」とこき下ろしたのだ。

米デトロイトで開催された自動車の国際見本市。左がトヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI」、右がテスラモーターズの電気自動車(EV)「モデルS」
Photo by Masaki Nakamura

 同じ会場では、トヨタ自動車やホンダのFCVが華々しく展示されていたが、それでもお構いなし。水素の貯蔵方式などを引き合いに出し「非効率」「意味がない」と畳み掛けた。

 マスク社長の怒りの原因は、容易に想像がついた。その約1週間前、米ラスベガスで開催された家電の見本市で、トヨタがFCVの技術について、特許を公開すると発表したためだ。

 特許公開といえば、テスラはすでに、電気自動車(EV)の市場拡大を狙って、昨夏に全特許の公開に踏み切っている。

 自分たちのお株を奪うようなやり方で、次世代自動車の覇権争いを仕掛けてきたトヨタに対し、心中穏やかでいられなかったというのもうなずける。

 一方で、テスラとトヨタは元々提携関係を結んだ間柄だ。

 2010年に豊田章男社長がマスク社長と会談した際は、すぐに意気投合し出資で合意。閉鎖していた米ゼネラル・モーターズとの合弁工場を、テスラに売却することも決めた。その工場でテスラは今、EVの「モデルS」を量産しているわけだ。

 ただ、その後両者の思惑は徐々にずれ始め、昨秋にはトヨタが保有株を一部売却。両者とも当初は「関係性は維持する」と言いながら、それ以降、協業の話は一切聞こえてこない。

 そうした経緯を踏まえると、マスク社長の発言は、複雑な思いを背景に抱えながらのものだったように映る。

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