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China Report 中国は今

経営も中国語もできず人望ナシ!?
在中日系企業の日本人社長たちに問題アリ

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第11回】 2008年10月30日
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 「お抱え運転手を解雇しようとしたら口論に発展したとか。今、A社は120万元(1800万円)の賠償を要求されているようだ」

 「B社もだぜ。タダでは辞めないと踏ん張る中国人部長がいてさ、会社に要求したのはなんと60万元(900万円)。そんな金は当然払う必要ないのに、『怒らせると怖いから』って払っちゃったらしいよ」

 従業員との人間関係がこじれて訴訟に。報復怖さにやむなく同意。そして日系企業はほぼ“マンション1戸分”に相当する額を要求される……。驚くべきことにいまだこの手のトラブルは健在だ。金額は異なれど、過去にも類似の問題は無数に存在した。定番化し、目新しさを失ったお決まりの中国ビジネスの落とし穴。だが、上海の日系企業は未来永劫、この因果応報から解き放たれることはない。

日本から送り込まれるのは
経営を知らない素人社長

 今や中国全体の日系企業は登録ベースで2万社を超えたといわれているが、これら企業を管理するのはたいていが日本人だ。彼らの名刺には日本の社長職を意味する「総経理」が肩書きとして刷り込まれるが、実は経営を知る総経理はほんの一握り。経営者自ら乗り込む中小企業は別として、たいていの現地法人は、経営を知らない日本人総経理たちが、見よう見真似で舵取りをしていると言っても過言ではないだろう。

 「赴任前の事前研修ですか? そんなのはありませんでした。研修を重視している日本の会社なんて少ないんじゃないですか」。筆者と対峙して座るのは上海で総経理職に就くC氏。サービス業に属するC氏の本社は日本でも中堅どころで、製造業の進出ラッシュが一段落する2005年前後に進出した。C氏は上海に3年、まもなく帰任予定だと言う。

 一方、こちらは世界に冠たる日本の製造業の代名詞、中国でもそのオペレーションが長い某社。ここで総経理を勤めたD氏もこう話す。

 「『会社経営の何たるか』も教えないで中国に出す。だから大問題に発展するんです。客先とのトラブル以上に、社内のトラブルが深刻です」

 ほぼ3年ごとに日本人総経理が交代するため、社内では十数年前と同じ問題が、人が入れ替わるたびに繰り返されている状態だ。かろうじて成長を維持しているのは、中国側の合弁パートナーに恵まれたせいでもある。

 「今でこそ、大手メーカーは経営のできる人材を出向させるようになっては来たものの、いまだ“品目のエキスパート”に総経理を兼務させる日本企業もある。昨日までものづくりをやっていた人間に、『経営をしろ』と辞令を出したところでできるはずがない。しかし、こんな問題はずっと以前から言われ続けてきたことですよ」とD氏は続ける。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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