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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

「値引き制限」でセブンに排除措置命令
加盟店は本部と“対等”になれるのか?

永沢 徹 [弁護士]
【第66回】 2009年6月26日
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 6月22日、コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンが、消費期限が近づいた商品を加盟店が値引き販売することを不当に制限していたとして、公正取引委員会から独占禁止法〔優越的地位の濫用〕違反で、排除措置命令を受けた。

 今まで特に流通における「優越的地位の濫用」の問題は、多くが対納入業者との関係であった。最近の流通業界における優越的地位の濫用事件(島忠、大和、ヤマダ電機、エコス、マルキョウ)は、すべて対納入業者の関係である。ヤマダ電機が新規オープンに際して、納入業者にタダ働きさせていたというケースは記憶に新しいだろう。それに対して今回は、フランチャイザーが加盟店に対して優越的地位の濫用をしたと判断された新しいケースといえる。

「価格の決定権は加盟店」だが、
推奨価格での販売を強要

 セブン-イレブンでは、売れ残った消費期限切れ商品の廃棄処分にかかるコストは全額加盟店が負担する契約になっており、売れ残りが増えるほど加盟店の利益は圧迫されていた。そこで、少しでも廃棄コストを抑えようと、加盟店側は値引きをして販売する「見切り販売」に踏み切ろうとした。ところが、セブン-イレブンと加盟店との契約書において「価格の決定権は加盟店側にある」ことが明記されているにも関らず、ある加盟店は「値引きを提案したところ、契約の打ち切りもほのめかされた」など、推奨価格での販売が事実上強制されていたということのようだ。

 公取委はこういった行為に対して、『株式会社セブン-イレブン・ジャパンに対する排除措置命令について』を発表し、「自己の取引上の地位が加盟者に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に,取引の実施について加盟者に不利益を与えているものであり、これは,不公正な取引方法の第14項第4号〔優越的地位の濫用〕に該当し、独占禁止法第19条の規定に違反する行為を行なっている」として、同法第20条第1項の規定に基づき、排除措置命令を出した。

 排除措置命令を受け入れれば、セブン-イレブンは「加盟者に対し、見切り販売の取りやめを余儀なくさせ、もって、加盟者が自らの合理的な経営判断に基づいて廃棄に係るデイリー商品の原価相当額の負担を軽減する機会を失わせている行為を取りやめなければならない」ことになる。その他にも上記のことを行うために必要な措置の内容を公正取引委員会から今後3年間承認を得なければならないなど、命令に忠実に従わなければならない。

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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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