ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
“世界のノブ”はいかにしてつくられたか?
【第8回】 2015年2月26日
著者・コラム紹介バックナンバー
松久信幸

NOBUを一瞬で伝えるデザインはいかにして生まれるか[前編]
  
オリジナル食器を企画するマツヒサ ジャパンの仕事

1
nextpage

5大陸30都市に店舗を構えるNOBU。その料理の数々は言葉や文化の違いを超え、和食の感動を世界へ伝える。今、そのエクスペリエンスは絶えず拡がり続け、2013年4月にラスベガスにオープンしたNOBUホテルを皮切りに、マイアミ、シカゴ、フィリピン・マニラ、サウジアラビア・リヤドへとホテル事業は拡大を続けている。
こうした最高のNOBUのエクスペリエンスを演出するためには、テーブルウェアをはじめとしたクリエイティブなデザインが欠かせない。今回は、食器をはじめとした様々な商品開発を通し、NOBUの世界観をデザインするマツヒサ ジャパンの代表取締役・松久純子氏、福本亜紀子氏、そしてNOBU、Matsuhisaオーナーシェフの松久信幸氏による鼎談をお届けする。(取材・構成:森旭彦)

NOBUエクスペリエンスを支えるマツヒサ ジャパン

――「マツヒサ ジャパン」のミッションを教えて下さい。

ノブ 僕の夢は、世界中のお客さんがお皿を一目見ただけで「あ、これはNOBUだ!」と分かるようなデザインを生み出すこと。NOBUのエクスペリエンスが一瞬で世界中に伝わるような、そんなデザインを生み出すために私たちは「マツヒサ ジャパン」を運営しています。

こうしたデザインの思想は、世界中で店舗を持ちながらオリジナリティを出す上で、とても大切なことです。20年前は世界のあちこちに店舗を持っているシェフはそんなに多くなかった。しかし今は、違います。たとえば先日ディスカバリー・チャンネルの番組収録で一緒に旅をした、ジャン ジョルジュ・ヴォンゲリスティンというフレンチのシェフは、NYでミシュラン三ツ星を獲得しており、東京の「JG Tokyo」をはじめ世界中に42店舗を持っています。そして彼は世界中の店舗でデザインに統一性をもたせています。つまり、「ジャン ジョルジュとは何か」という体験を統一して設計し、オリジナリティを出すことに成功しているのです。

ブラックコッドの西京焼き皿

福本 たとえばNOBUで使われている食器のひとつに、ブラックコッド(銀ダラ)の西京焼き皿があります。これはNOBUの料理がメディアに登場する時に「あ、NOBUだ」ということを伝えるアイコンのような存在になっていますね。料理はもちろんですが、こうした食器の体験も、結果としてNOBUのブランド価値を高めているのだと思います。私たちマツヒサ ジャパンは、様々な商品を開発しながら、現在ある70種類のオリジナル食器とともに、世界中に展開するNOBUとMatsuhisaをはじめとするレストランオープンの支援をするのが仕事です。

ノブ ユニークな商品として、最近、非常に硬度の高いワイングラスを取り扱っています。一般的なワイングラスは、テーブルに倒れるだけでほぼ100%割れてしまいます。しかしこの、クリスタルでコーティングされたワイングラス「Korin Glass」は、机の角に叩きつけても割れない。ニューヨークでNOBUをオープンさせた頃から付き合いのある食器屋さん「Korin」とマツヒサジャパンが共同で低価格化を実現したワイングラスです。
このワイングラスは、単価自体は決して安いものではありません。最初はリーデルよりも高かったのですが、僕たちは何万何千個という数を、5大陸30都市の店舗に展開したり、ホテルなどにも入れることができるため、コストを大幅に下げることができるのです。これがお互いにとって大きなメリットになるのです。

――まさに、マツヒサ ジャパンだからこそできる価値創造ですね。ホテルはやはりビッグビジネスのチャンスなんでしょうか。

福本 そうですね、現在はマニラのNOBUホテルにはすでに入っていて、サウジアラビアへも船が出港予定です。オープンに間に合わないことは許されないので、非常に緻密なオペレーションが求められます。モスクワにNOBUをオープンする際、ロシアではシベリア鉄道を使いました。

純子 中国には手持ちで持って行ったこともありましたよね(笑)。

福本 私たちは5大陸30都市以上の通関ができるノウハウを持っています。動き方はまさに商社ですね。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
まいにち小鍋

まいにち小鍋

小田真規子 著

定価(税込):本体1,100円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
簡単で安くて、ヘルシー。ポッカポカの湯気で、すぐにホッコリ幸せ。おひとりさまから共働きのご夫婦までとっても便利な、毎日食べても全然飽きない1〜2人前の小鍋レシピ集!「定番鍋」にひと手間かけた「激うま鍋」。元気回復やダイエットに効く「薬膳鍋」や、晩酌を楽しみたい方に嬉しい「おつまみ鍋」など盛り沢山!

本を購入する
著者セミナー・予定
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


松久信幸(まつひさ・のぶゆき) 

「NOBU」と「Matsuhisa」レストランのオーナーシェフ。1949年、埼玉県で材木商の三男として生まれ、 7 歳の時に父を交通事故で亡くす。14 歳の時に兄にはじめて連れていってもらった寿司屋でその雰囲気とエネルギーに魅了され、寿司職人になると心に決める。東京の寿司屋での修業後、海外に出てペルー、アルゼンチン、アメリカでの経験を基に、和をベースに南米や欧米のエッセンスを取り入れた NOBUスタイルの料理を確立した。 1987年、アメリカ・ロサンゼルスにMatsuhisaを開店。ハリウッドの著名人たちを魅了し大人気となる。1994年、俳優ロバート・デ・ニーロの誘いに応えNOBU New Yorkを開店。さらに、グローバルに展開し次々と店を成功に導く。2013年4月、ラスベガスにNOBU Hotelをオープン。2014年現在、5大陸に30数店舗を構え、和食を世界の人々に味わってもらおうと各国を飛び回っている。 主な著書に、『Nobu the Cookbook』『nobu miami THE PARTY COOKBOOK』(以上、講談社インターナショナル)、『nobu』(柴田書店)、『NOBUのすし』(世界文化社)などがある。


“世界のノブ”はいかにしてつくられたか?

約40年前、包丁1本で海を渡った料理人が、今や世界五大陸に三十数店のレストランとホテルを展開、レストランだけで年間のべ200万人以上が来店、2013年クリスマスのグーグル検索数がレストラン部門のトップという世界でもっとも有名なオーナーシェフになった。“世界のノブ”と言われる松久信幸は、日本人としての感性を貫きながら、いかにしてグローバルに成功を収めたのか? 対談やインタビューで浮き彫りにしていく。 

「“世界のノブ”はいかにしてつくられたか?」

⇒バックナンバー一覧