グループ力で地域を支える
4位の「篠崎駅前クリニック」

 在宅医療への一歩を踏み出そうとする家族と、その家族の揺れる心を支えようと懸命な医師と看護師。これから患者や家族の詳細などを聞くという。「ここからが本当の在宅医療です」。小林看護部長はそう言うと、鈴木副院長と娘さんと共に、明かりのともるクリニックへ入っていった。

江戸川沿いにある東京さくら病院。春には病院前の桜が満開になり、リハビリ室や病室などからも眺められる

 4位となった「篠崎駅前クリニック」などを運営する桐和会グループ(本部・江戸川区、岡本和久理事長)は在宅医療・介護と病院・施設の連携に注力する。

 江戸川、江東、葛飾区の都内東部を中心にクリニック21カ所(うち歯科2カ所)と訪問看護ステーション1カ所、特別養護老人ホーム4カ所、グループホームと介護老人保健施設各2カ所、さらに病院も2カ所運営する。

 特養と老健、病院は隣接する埼玉県内にもあり、4月には川口市で2カ所目となる特養「道合さくらの杜」がオープンする予定だ。

 川口市にある「川口さくら病院」(290床)は認知症専門の精神科病院。医療・介護保険適用ベッドを各120床備え、治療・療養する。

 江戸川区にある「東京さくら病院」(258床)は一昨年7月にオープン。老健(80床)も併設し、急性期医療後と在宅の間を補うため回復期リハビリテーション(60床)や緩和ケア(38床)などを行っている。

 岡本理事長は「在宅医療のニーズは高いが、患者さんやご家族のことを考えると、施設や入院先も用意しておくことが不可欠」と強調する。

 篠崎駅前クリニックだけでも年間10人以上を在宅でみとる。一方で、医師や看護師はその間の家族らの苦労も目の当たりにしてきた。

 そんな一人でもある岡本理事長は「在宅で面倒を見切れなくなっても、認知症を併発している高齢患者を受け入れる病院・施設は少ないのが実情」と訴える。まして共働きや高齢者の世帯では、認知症でなくても病を抱える高齢者を在宅で看護・介護するには限界もある。岡本理事長が在宅と病院・施設の連携に奔走するのは、こうした家族らの事情にも配慮するためだ。

 一方、グループ全体で徹底しているのが自立支援だ。寝たきりにさせないため、理学療法士や作業療法士らが病院をはじめ、特養・老健などでもリハビリを行う。

 このためオムツをしている入居者・患者はゼロという。誤嚥性肺炎などを防ぐ口腔ケアも徹底しており、東京さくら病院では常勤の言語聴覚士が近隣の耳鼻咽喉科クリニックの医師らと共同で口腔ケアに当たる。

 岡本理事長は「リハビリや口腔ケアを徹底することで、入居者・入院患者さんの健康寿命が1年半から2年延びる」と説明する。

 なお、『ダイヤモンドQ』(創刊準備3号)では、診療所ランキング381位(383診療所)までを掲載している。より詳しい情報を求める人は参考にして欲しい。

●ランキング表の作成方法と見方
◎対象:常勤の医師2人以上が勤務する在宅療養支援診療所(在支診)、もしくは在支診を併設している東京都内の診療所(617)。
◎調査方法:ハミングヘッズの協力を得て、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」、関東信越厚生局が公表している都内の医療機関の施設基準からデータを得た。調査期間は2014年10月。
◎指標の説明と配点
【在宅療養支援診療所の基礎点】(50点)
 →在宅療養支援診療所の実績を評価し、全てに基礎点として50点を加点
【医療体制の評価】(50点満点)
①総合的医療体制:12.5点満点
※下記、施設基準のいずれかを取得
・地包診(地域包括診療料):12.5点
・地包加(地域包括診療加算):10点
→生活習慣病や認知症への対応、24時間体制の在宅医療など総合的な対応力を評価する基準。地包診の方が常勤医師3人以上などの要件があり、難易度は高い
②在宅医療体制:12.5点満点
※下記、施設基準のいずれかを取得
・支援診1:12.5点
・支援診2:10点
・支援診3:7.5点
→在宅療養支援診療所としての基準。支援診1と2が一定以上の実績などがある強化型。支援診1が最も難易度が高い
③糖尿病のケア:10点満点
※下記、糖尿病に関する施設基準を取得
・糖防管(糖尿病透析予防指導管理料):6点
・糖管(糖尿病合併症管理料):4点
→糖防管は透析予防の診療チームなどがある。糖管は糖尿病合併症について経験5年以上の医師と看護師がいるなどの要件がある
④がんのケア:10点満点
※下記、がんに関する施設基準を取得
・がん疼(がん性疼痛):6点
・在総(在宅がん医療総合診療料):4点
→がん疼は緩和ケアの経験がある医師がいる。在総は在宅がん医療に必要な体制があることを示す基準
⑤スタッフ体制:5点満点
※医師、看護師(准看護師)以外で勤務しているスタッフの職種数(常勤換算で1人以上)
・1職種以上:2.5点
・2職種以上:4点
・3職種以上:5点
→職種は、薬剤師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、診療放射線技師・診療エックス線技師、臨床工学技士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー、社会福祉士、臨床検査技師・衛生検査技師、歯科衛生士を対象とした
※得点の「ー」は、該当項目がないもの(0点)