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ギリシャ問題が示すユーロ存続の厳しい道のり

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第366回】 2015年3月2日
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ドイツの強硬姿勢は変わらない
支援合意は問題先送りにすぎない

EUの前途多難があらためて示された。写真はベルギー・ブリュッセルのEU本部 Photo:DOL

 2月20日、欧州連合(EU)はユーロ圏財務相会合で、2月末に期限が切れるギリシャ向け支援策を4ヵ月間延長することを合意した。これによって、とりあえず、2月末にギリシャの財政が破綻する事態は回避された。

 今年1月、反緊縮で政権の座に就いたギリシャのチプラス政権は、今回、財政再建策の維持を条件に、ユーロ諸国等からの支援を何とか維持した格好だ。チプラス政権とすると、大きな譲歩を強いられたことになる。

 しかし、今回の合意によってギリシャ問題が解決されたわけではない。ユーロの中心とも言えるドイツでは、国民感情がギリシャ支援のため国内の血税を使い続けることを容認しないだろう。

 それに加えて、ギリシャに大幅に譲歩すると、これからキプロスやポルトガル等にも譲歩を迫られる懸念がある。ドイツは、これからもギリシャに対する厳格な姿勢を変えることは考え難い。

 今回のギリシャに関する合意は、単に問題を先送りしただけと見た方がよい。期限である6月までの間に、ギリシャは、ドイツ中心のユーロ圏の会議でかなり厳しい交渉を重ねることになる。

 元々、ユーロ圏19ヵ国それぞれの経済状況が大きく異なる状況下、同一の金融政策・同一通貨でのユーロ圏全体の経済運営を行うことには無理がある。そうした本源的な問題を抱えたままで、壮大な実験であるEUが、今後、どのように展開するか考えてみたい。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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