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山崎元のマネー経済の歩き方

ラップアカウントに値打ちはない

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第41回】 2008年7月15日
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 今回は、ある証券会社の投資信託を投資対象とする個人顧客向けのラップアカウント・サービスを取り上げる。

 雑誌に掲載された広告を読むうちに、次第に腹が立ってきたが、ひどいのはこの証券会社のサービスばかりではない。当該会社に恨みはないので、名前は挙げない。だが、読者には同類のサービスには大いに気をつけてほしいと思って、取り上げる。

 ラップとは英語で「包む」という意味で、運用金額に対して1年間分まとめて手数料を取る証券会社のサービスを指す。手数料には、一任運用と助言、投資対象商品の選択、売買の手数料などが含まれている。広告によると、運用残高に対して1年目に1.575%、2年目に1.05%、3年目以降に0.6825%の年率固定手数料を取る。

 ただし、2年目以降に「ハイウォーターマーク超過額」の10.5%を取るという成功報酬規定がある。これは、過去に成功報酬を取ったときの運用資産額の最高額を手数料計算時の資産額が上回らなければ報酬を取らないという計算方式で、ヘッジファンドなどでよくあるかたちだ。報酬率は典型的ヘッジファンドの半分くらいだが、わかりにくいかたちで個人顧客から追加的な手数料を取るのは感じが悪い。

 成功報酬部分を固定手数料に換算した場合の重さは、運用の中身によるが、資産価値の変動がTOPIX(東証株価指数)程度だとすると年率0.8%程度と推定される。

 広告には記載がないが、投資対象が投資信託なので、売買手数料がかからなくとも、信託報酬が差し引かれるはずだ。これを年率1.5%見当と見ると、合計3%程度の手数料を顧客は毎年負担する。筆者は大き過ぎると思う。

 最小単位は500万円からで、いわゆる富裕層よりもかなり下の階層を狙ったサービスだ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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