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山崎元のマネー経済の歩き方

運用体制から考える国家ファンドへの疑問

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第15回】 2008年1月15日
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 いわゆる「国家ファンド」構想が一部で盛り上がっている。詳しい理由はダイヤモンド・オンライン連載「マルチスコープ」12月13日付で書いたが、筆者はこの構想に反対だ。しかし仮に国家ファンドができた場合、その運用がどのように行なわれるのかという問題は興味深い。

 推進派の国会議員の発言などを見ると、政府が直接運用するのではなく「世界の超一流のプロたちに任せて運用する」というのがだいたいの了解事項らしい。中国のファンドが米国の運用会社を雇ったことなどに影響されているようだ。また、運用会社は単独ではなく、複数の会社を使うことを想定しているようだ。1社に巨額の国家資産を任せると、失敗した場合に影響が大きいし、目立つから、たぶんそうするだろう。

 仮に、5社雇うとしよう。推進派には「海外のプロ」に期待する人が多そうだから海外の運用会社を主に使う。一方、「金融立国、日本を目指す」というお題目もあるので、結局は内外でバランスを取りそうだ。米国の大手を2社、欧州系を1社、日系の運用会社を2社といった配分だろうか。

 株価指数をベンチマーク(比較指標)とする普通の株式運用はすでに公的年金の運用でやっている。気分的には、目新しい運用が必要なのだろう。ロング・ショート運用(株式などの買いと空売りを組み合わせた運用)を行なうヘッジファンドや、上場企業だけでなく、プライベートエクイティ(未上場株)やプロジェクトなどにも投資する投資ファンドに資金を預けるのだろう。かつて米系のファンドが日本長期信用銀行を安く好条件で買い、これを新生銀行にして上場益を稼いだような、おいしい案件を世界中から探してくれることを期待するのだろうが、上等の獲物は次々見つかるだろうか。また、真にいい獲物を見つけたときに、わが国のファンドに儲けさせてくれるだろうか。運用会社をよほどしっかりと管理せねばなるまい。場合によっては、運用会社への出資も必要だろう。十分なコントロールは簡単ではない。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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