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人を動かす 説得コミュニケーションの原則
【第7回】 2009年12月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
福田 健 [C.N.S(株)話し方研究所会長]

「説得」を急いで「説明」を省いていないか

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急いで売り込めば
客は逃げてしまう

 「説明」とは、相手がわからないことをわからせるところに目的を置くコミュニケーションである。

 説得は、相手が求める説明に応えてから行なうのが順序である。説明を省いて、説得を急ぐ人は、相手からうるさがられ、説得不成功の結果を招く恐れがある。

 例えば――。

 買わせようとばかり、説明の段階に売り込みをかけ、説得を持ち込む人がいる。これは逆効果で、当初は興味を持って近づいてきた相手も、離れてしまう。

 観光地のお土産売場でのこと。事務所の人たちにお菓子でも買って帰ろうかと、菓子類が置いてある売場に近づいた。すると、中年女性が、

 「ありがとうございます」
 「?」
 「お土産にはこれが一番おトクです」
と1つを取り上げ、
 「よく売れています。よろしいですね。これで」

 なぜトクなのか、どんな菓子なのか、説明もないまま強引にすすめるやり方に、

 「やめておこう」

 急に気が変わって、私はその場を立ち去った。

 ネクタイ売場に立って、気に入った色のものを、1、2本手にとって眺める。

 ゆっくり近づいてきて、頃合いをみて、

 「グリーンの色がお好きですか」
 「そうね。でも、これ、夏には生地が厚手で合わないんじゃない?」
 「そうですね。夏でも厚手のネクタイをお着けの方もいらっしゃいますよ。そういう場合は……」

 丁寧に説明をしてくれる。「なるほど」と思えば、買う気も起こってくる。

 厳しい状況に置かれると、なんとか説得しなければと、説明がお留守になる。

 その分、相手の心は離れてしまう。

 説明がなければ説得もないことを、十分承知しておきたい。

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福田 健 [C.N.S(株)話し方研究所会長]

1983年株式会社話し研究所を設立。2004年に会長に就任。「コミュニケーション」を軸にした講座、講演を企業、官公庁を中心に行い、話し方研究所でもセミナーを開催。主な著書に、『人を動かす会話術』『上手な「聞き方・話し方」の技術』などがある。


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