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安東泰志の真・金融立国論

経営陣の保身に対抗する独立社外取締役の重要性

成長戦略の大きな柱 「コーポレートガバナンス」を考える(2)

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第55回】 2015年3月6日
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Photo:kritchanut-Fotolia.com

前回はコーポレートガバナンスの本質について考え、機関設計の選択肢について説明した。その後、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が指名委員会等設置会社に移行すると表明したのはタイムリーであった。

連載第46回で論じたように、筆者は日本では銀行が率先して指名委員会等設置会社に移行すべきだと考えており、みずほに続きMUFGがその方向に舵を切ったのは英断だ。しかし、機関設計だけでコーポレートガバナンスが改善されるわけではない。今回は、機関設計と共に考えられるべき幾つかの論点についておさらいしてみたい。

利益相反で客観的評価を下す
独立社外取締役の存在

 前回論じたように、コーポレートガバナンスの本質は、「取締役会が社長を解任できますか?」であり、昨今は取締役会の役割について、経営者を監視する「モニタリング・モデル」が重視されつつある。しかし、社内取締役やその利害関係者だけで占められた取締役会が、「身内」のモニタリングをしてもお手盛りになるのは当然だ。そこで重要なのが、「独立社外取締役」の存在だ。

 「独立社外取締役」は、「社外取締役」の要件を厳しくしたものだ。すなわち、独立社外取締役は、経営陣と一般株主との利益相反問題に関し、一般株主保護の観点において、経営陣の利害から独立していなければならない。要するに、株主利益の観点から経営陣を客観的にモニタリングするものだ。

 一般株主と経営陣の間で利益相反が起きる可能性は常に存在する。たとえば、ある会社(A社)が別の会社やファンド(B社)から敵対的買収の提案を受けたとしよう。

 提案される買収価格は、ほとんどの場合、市場価格を数十パーセント上回る。B社は、「A社の現経営陣では企業価値が十分に上がっていない。自分たちが経営すればA社の企業価値を上げることができる」とか「A社の事業とB社の事業を統合して自分たちが経営すれば両社の企業価値が向上する」という意図で高値での買収を仕掛けてくるのだから、A社の経営陣はクビになるだろう。

 A社の経営陣にとっては「とんでもない提案」ということになる。そして、買収提案に反対の意見を表明した上で、買収防衛策を発動したり、株式の持ち合いをしている会社や銀行に株式の売却をしないように申し入れたり、ホワイトナイト(経営陣と友好的な別の買い手)を探したりする。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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