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シリコンバレーの名門VCが目指すiPhoneベンチャーの大量生産

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第11回】 2008年9月3日
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 iPhoneのアプリケーション開発会社だけを対象とした1億ドルのiFund が注目を集めている。

 同ファンドを開設したのは、シリコンバレーの名門ベンチャーキャピタル、クライナー・パーキンス・コーフィールド・バイヤーズ(KPCB)。今年3月、アップルのiPhoneソフト開発キットの発表会で、KPCBの伝説的パートナー、ジョン・ドーア自らがファンド立ち上げのアナウンスメントを行った。すでに5社に投資しており、その動向がモバイル業界の注視するところとなっている。

 あるアナリストの分析によると、アップルのiPhone3Gは発売後1ヵ月で世界で300万個を売り上げているという。8月以降、発売された国もさらに増えているので、アップルのスティーブ・ジョブズCEOが豪語した「2008年末までに1000万個」というのも、あながち不可能な数字ではなさそう、との見方も出てきた。

 そのiPhoneの躍進と歩調を合わせて順調に伸びているのが、iPhone用のアプリケーションである。iPhone3Gの発売と同時にアップルはiPhone用アプリケーションを一括して売るApp Storeを開設し、すでにダウンロード件数は6000万を上回った。ジョブズは、App Storeは近いうちに10億ドル規模の市場になるはずだとの強気な見通しを披露している。

 これまで携帯のアプリケーションと言えば、通信キャリアが主導権を握り、限られた数のアプリケーションしか搭載されてこなかった。ところが、アップルのiPhoneは、この構図をすっかり変えてしまった。ソフトウェアで断続的に機能がアップグレードされるiPhoneの世界では、アプリケーションもオープン・マーケット。まるでバザールのように、日に日に新しいアプリケーションが登場し、売買されているのである。

アル・ゴアやビル・ジョイも
ファンドの運営に協力

 KPCBのドーアは、「iPhoneのインパクトはパソコンより大きい」と見る。iFundの狙いは、このiPhoneやiTouch(携帯電話機能を持たない)という新しいプラットフォームを利用して、市場を変えてしまうようなアイデアを持った会社を育て上げることだ。

 iFundが対象とするのは4つの分野。GPSを利用したロケーションベースのサービス、モバイル・ソーシャルネットワーキング、広告や支払いサービスを含むモバイル・コマース、そしてゲームなどのエンターテインメントとコミュニケーションだ。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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