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もはや破綻処理は“既定路線”か?
世界の命運握る米国自動車救済策

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第66回】 2009年2月24日
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 2月20日、スウェーデンの有力自動車メーカーであるサーブが破綻した。親会社であるGMには、サーブを助ける余力はなかった。欧州では、すでにフォードの子会社であるボルボにも経営悪化の観測が流れている。

 わが国の自動車業界の落ち込みを見ても、世界経済の中で自動車業界が占めてきた役割がいかに大きかったかがわかる。自動車産業は“20世紀最大の産業”と言われるだけあって、部品メーカーなどの裾野が広く、経済全体に与える影響は極めて大きい。

 底なしの不況が続くなか、自動車業界の趨勢は、「当面、世界経済の命運を握っている」と言っても過言ではないだろう。

 なかでも、長い間世界の頂点に君臨してきた米国の“BIG3”の存在は別格だ。そのBIG3のGM、クライスラーは、2月17日、米国政府に再建計画を提出した。しかし、その計画書を見た専門家からは、一斉に「甘い。楽観的過ぎる」との指摘が出ている。

 今回、両社が提出した再建計画は、すでに発表されているリストラ計画をさらに進展させてはいるものの、それ以外にはほとんど新しい内容を含んでいない。とりあえず、「期限までに書類を提出した」という事実を作ることが必要だったのだろう。再建計画提出遅れという、最悪の事態を避けたかったからだ。

 もう1つ注目されるポイントは、両社が政府に対して、多額の追加支援を要請していることだ。うがった見方をすれば、216億ドル(約2兆円)にも上る追加支援の要請のための口実の1つとして、今回の計画を作り上げたとも考えられる。

 特に、再建計画の前提になっている米国の自動車市場の予測は、専門家ならずとも、一目見て楽観的過ぎる。また、最も注目された労働組合(UAW=全米自動車労組)に移管する医療保険基金への拠出金の扱いや、一部債務の株式化への合意取り付けなどについては、ほとんど前進が見られない。

 これらの問題は、3月末の最終期限まで交渉が続けられるが、今のところ、その行方は不透明のままだ。これからも、彼らを巡る情勢は、予断を許さない厳しい状況が続くだろう。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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