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父と娘の就活日誌

企業の「即戦力ニーズ」が、学生たちのプレッシャーに

―― 仕事では、すぐに結果を求めないこと

楠木 新
【第13回】 2008年1月22日
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 今回は、いつもと趣向を変えて、ある大学に招かれて出席したキャリア・セミナーのレポートをしよう。

 関西のK大学では、学生のキャリア支援を目的として、自己分析、社会研究などのワークショップの後、社会人を招いてインタビューする科目を設けている。私も誘いを受けて、他のいろいろな職業を持った方々10名と一緒に参加した。

 参加した社会人に対して、学生たちが、その人のキャリアについて準備した質問を行うのである。

 各社会人は、異なる3つのグループから各々40分のインタビューを受けた。一つのグループは7、8人で、現在就活をしている3年生だけでなく就職が決まった4年生もいた。学生達は皆が真剣なので、こちらも元気をもらい、連続して2時間話しても、疲れは全く感じなかった。

学生に広がる
成果主義への不安

 その中で、就職先が決まっているという4年生からの質問が印象に残った。「社会に出た時に、1番困ったことは何ですか?」「新入社員の時に、仕事についていけないと感じたことはありますか?」

 質問に答えた上で、「なぜ、そういうことを聞きたいのか?」と逆に私が聞くと、この4月にIT関係の会社に就職するが、自分は器用なタイプではないので、結果を出せるか不安がある、と語ってくれた。

 私はその学生の話しを聞いて「入社するとすぐに結果を求められる」と思い込みすぎているのではないかと感じた。娘に聞くと「会社説明会でも、営業の人が成果を出すことを強調しているよ。学生は、いつもそういう話を聞いているからだよ」と答えた。企業の成果主義の広がりが、学生側に実態以上に反映しているのかもしれない。

 インタビューを受けながら、若者のキャリア相談にも携わっている知人の社会保険労務士の顔が浮かんだ。彼のキャリアを、私がある新聞に書いたコラムで紹介しよう。

すぐに
結果を求めてはダメ

 「最低3年働かないと会社のことはわからないよ。」社会保険労務士のTさん(34)は、若者のキャリア相談に応じて、そう応えることが多い。

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楠木 新

金融機関に勤務するかたわら、「働く意味」をテーマに執筆、講演などに取り組む。12万部を超えるベストセラーになった『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『就職に勝つ!わが子を失敗させない「会社選び」』(ダイヤモンド社)など著書多数。近著に『人事のプロが教える 働かないオジサンになる人、ならない人』(東洋経済新報社)がある。


父と娘の就活日誌

働く価値観が多様化する中、超売り手市場の環境下で、大学生はどのように企業選択をしていくのか。就職活動に臨む大学3年生の娘と父とのリアルな対話を通して、実状に迫る。

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