DIAMOND CFO FORUM

[CFOフォーラム・ジャパン2014 CFO講演]
オムロンの企業力向上への取組
~逆ROIC経営~

鈴木 吉宣 氏
オムロン株式会社 代表取締役副社長CFO

センシング&コントロールを柱に

 オムロンは1933年立石電機製作所として創業、1970年代からアメリカを中心に積極的な海外展開を図ってきた。売上高海外比率は、1990年度の16%が、2013年度には海外55%と急伸している(売上高1990年度4,162億円→2013年度7,730億円)。「センシング&コントロール」をコア技術とし、生産現場の制御機器、FA機器、お客様の商品に搭載される電子部品やモジュール、交通信号や駅関連の移動化などの社会インフラ事業から、健康機器の体温計や血圧計といったコンシューマ機器まで、幅広い領域に展開し、社会のニーズを解決する技術、製品・サービスを提供している。売上構成は、制御機器事業(約38%)、電子部品事業(13%)、車載事業(16%)、自動改札機や券売機などの社会システム事業(11%)、ヘルスケア事業(11%)、環境などその他揺籃期の事業(10%)となっている。社会システム事業は100%近くが国内事業であるため、他の事業は実質6割~8割が海外事業となっている。中国に本格参入した1975年以降は中華圏が急伸し、2000年頃に第二波の積極投資を進めてきた。2013年度の中国での売上比率は18%を占め、海外のトップエリアとなっている。

 2013年度の売上は7,730億円、営業利益681億円で営業利益率は約8%。2014年度は売上8,350億円、営業利益840億円を見込んでおり、営業利益率は小さな夢であった10%超えの10.1%を達成する見通しとなっている。

 20年以上前から経営の目標値に設定しているROE(株主資本利益率)は11.6%(2013年度)。事業セグメント別の売上高・営業利益率も、全事業が業界レベル以上の成長・収益性を有した強固なポートフォリオを目指すべく内外にその数字を開示している。よい数字が出ると、お取引先から値下げ要請のご連絡をいただくこともしばしばあるなど、開示するが故の課題もあるが、投資家とのコミュニケーションを図り、われわれの考え方を説明し、それぞれの事業をより良いものにしていくために、今後も続けていきたいと考えている。

経営指標の考え方

 株主資本比率は65.8%(2013年度)、実質無借金経営で、財務の健全性は極めて高いと考えている。しかし、健全ではあるが故の課題もあり、「株主資本比率が高すぎる」「もっと積極的に成長投資をすべき」といったご意見を頂戴する。格付けを見てみると「A」(S&P)と「AA-」(R&I)をいただき、緊急時に資金調達できるラインをキープしている。

 2020年度までの長期ビジョンでは、定量的ゴールとして売上高1兆円以上と営業利益率15%以上を掲げている。収益性の指標は外部に対するコミットメントと位置づけ、売上総利益率、営業利益率、ROIC(投下資本利益率)、ROE(株主資本利益率)、EPS(一株当たり利益)の5項目を公開。2016年度までの中期経営目標を2020年度の長期ビジョンの1つのマイルストーンとして、売上高(9000億円以上)、売上総利益率(40%以上)、営業利益率(10%以上)、ROIC(13%前後)、ROE(13%前後)、EPS(290億円前後)に設定している。2014年度見通しは、売上高8,350億円、営業利益840億円であり、着実に中期目標数値に近づいている。ただし、中期目標はあくまでマイルストーンであり、数字の達成よりも長期目標達成のための経営インフラづくりを主眼に置いている。2020年度目標に向けて、必要なハードルを再設定しながら進めていきたい。

利益配分の考え方

 利益配分に関しては、「企業価値の長期的最大化」に向けた成長投資を第一優先とし公表している。投資家の方々にも「オムロンは成長余力がある」「オムロンを長期的に見てほしい」「こういった長期的な政策を進めていく」ことを懸命に訴えながら、中長期経営のコミュニケーションを大切にしている。配当については、2014年度当初に「2016年度末までに配当性向を30%に引き上げ」と発表し、現在の25%以上から5%の引き上げを約束している。また、安定配当のための最低ラインとしては、DOE(株主資本配当率)2%を目標としている。長期にわたる余剰資金の発生が見込まれるときは「機動的な自己株消却」で還元することを伝えており、2014年10月にも自己株消却を進めている。

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