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「会社のワガママちゃん」対処法

“辞めさせたい”“異動させたい”未熟部下は変わるか
育成を強いられる上司の苦悩と究極の打開策

――未熟な部下を成長させる上司の支援力<中>

松崎一葉 [筑波大学大学院 産業精神医学・宇宙医学グループ 教授]
【特別編(2)】 2011年6月16日
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 前回は、企業で問題化している「未熟型うつ」に対して、精神産業医学的な見地から、どのような成長支援を行えばよいのかを提起し、私が最近経験した具体的な事例を取り上げた。

 今回は、事例の続きと、「未熟型うつ」の心理状況の分析ならびに育成のための理論的背景を解説したい。

ワガママ部下が「うつ病」の診断書を提出
人事部からの事情聴取に怒り爆発

【事例後編】

 ●●電気の本社営業部に勤務する入社2年目の社員・二階堂(仮名)は、社内の“優秀新人”に選ばれなかったことが分かった後、1週間の休暇を取得した。しかし、その間、彼は彼女と沖縄旅行に出かけており、しかも休暇が明けてもなんの連絡もせず欠勤を続けた。

 心配したチーフマネジャーの育田(仮名)は人事担当者と共に、二階堂の自宅を訪れると、彼は真っ黒に日焼けした姿で現れ、次のように述べた。

 「自分が優秀新人に選ばれず、職場で評価されていないことがわかり傷ついた」
 「気分転換に彼女と沖縄に出かけていたが、その時はいつもどおり元気に過ごせた」
 「会社に行く日になると気力がわかず、連絡をしなければと思っているうちに二度寝をしてしまい、連絡のタイミングを逸した」
 「自分には営業は向いていない。会社のTVコマーシャルを作成するような仕事であればやれる自信がある」

 当初、育田は、二階堂の話を黙って聞いていたが、次第に顔を赤らめ、部署の仕事が向いていない旨の発言が出た際についに、堪忍袋の緒が切れた。

 「いい加減にしろ。無責任に仕事を投げ出して沖縄に行くような君のその姿勢に大きな問題があるのだ。みんな辛い仕事だって歯を食いしばって頑張っているんだ。君のようなワガママな存在はうちの部署のお荷物だ。そんなにうちの部署の仕事が嫌なら、会社を辞めて他の仕事を探せばよい」と、二階堂に怒鳴りつけた。

 人事担当者も育田がそう言いたくなる気持ちを十分に理解出来たが、その場では育田をなだめ、二階堂には「具合が悪いのであれば病院に行って、療養が必要であれば診断書をもらって適切な社内手続きをしてください」と告げた。

 その2日後、育田に「うつ病:過重な職責と職場内の人間関係が発症の原因と考えられる。また、本人に対する退職勧奨も病状の悪化の要因になったと推測される。向後1ヵ月は自宅療養が必要である」という診断書が郵送されてきた。その診断書に基づき、病気休暇の手続きを開始したところ、人事部から診断書中の「過重な職責」、「職場内の人間関係」、「退職勧奨」という文言について育田に事情聴取が行なわれた。その場で育田は人事部長に日頃の不満をぶちまけた。

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松崎一葉 [筑波大学大学院 産業精神医学・宇宙医学グループ 教授]

1960年生まれ。1989年筑波大学大学院博士課程修了、精神科医、医学博士。東京都庁知事部局健康管理医、宇宙航空研究開発機構(JAXA)主任研究員、茨城県警察本部健康管理医のほか、企業の精神科産業医として国内外で活躍。著書に「会社で心を病むということ」(新潮文庫)、「もし部下がうつになったら」(ディスカバー携書)など。

 


「会社のワガママちゃん」対処法

「傲慢なのに打たれ弱い」未熟なワガママ社員が増え、多くの管理職が振り回されている。しかし、対処法を間違えば、彼らは「うつ」になるケースも。彼らとどう付き合っていけばよいのか、その方法を紹介していく。

「「会社のワガママちゃん」対処法」

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