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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

中国の美しい田園風景の陰に“貧困と格差”の現実

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第250回】 2015年4月16日
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 香港のメディアに載っていたあるニュースがここ数日、中国本土のネットを賑わせた。ニュージーランドでも特に人気の高いリゾート地のコロマンデルの近くに、Slipper Islandという島がある。同国では、個人保有の数少ない島の一つとして知られるそうだ。最近、この島のほとんどを購入する手続きを、同国に住む自称主婦の中国人女性が進めている。

 217ヘクタールの土地、2棟の建物、リゾート用の平屋4つ、数個のビーチ、小型飛行機用の滑走路を含むその島を、この女性は750万ニュージーランド・ドル(約6億7400万円)をつぎ込んで購入する。目的は娘さんへのプレゼントだそうだ。娘さんの話によれば、島を購入してからどうしようといったことはその女性はまだ考えていない、という。

 海外に住む中国人の中には裕福な人が多い。こうした話はこれまでも聞いたことがある。その意味では、別に彼女たちに羨望の目を向けることもなく、密かに妬く心境に陥ることもない。ただ、それでも今度の原稿にこのことを取り上げたのは、中国国内をはじめ中国人社会に広がる所得格差の問題を考えてみたいからだ。

番組取材で心奪われた
雲南省の農村の雄大な景色

 ちょうどその数日前に、私はfacebookや中国のSNS微信(WeChat)にチベットの芒康にある塩田の景色を写した写真をアップした。太陽の光で金色に輝いている塩田の棚田に、瀾滄(ランツァン)江の水を担いできて塩を精製する女性たちのシルエットという構図の写真だ。完成度が高く、非常に美しい撮影作品だ。すぐに多くのいいねとコメントをいただいた。その中の、ある在日新華僑の女性が次のような感想を述べている。

 「以前は、段々畑の写真を見てただ美しいと思っていただけだった。新潟の段々畑で一日、働いてから、農作業をするときの苦労をいやというほど体感できた。それ以降、このような美しい景色を写したものを見ると、頭の中は『大変だ、大変だ』という感想ばかりとなった」

 その女性の感想に私もまったく同感だと思う。思いが翼を広げ、2001年5月の雲南省に飛んだ。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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