豊洲新市場移転にまたも暗雲!<br />観光施設計画を大幅見直し喜代村の木村清社長はマグロの初競りでも有名だ。すし職人養成学校も手掛けている
Photo:AP/アフロ

 東京都中央卸売市場(築地市場)の移転をめぐり、またしても暗雲が垂れ込めている。2016年11月、豊洲への移転に合わせて大型商業・観光施設の同時開業を予定していたが、大幅な計画の見直しを迫られているのだ。

 施設はその名も「千客万来」。多くの観光客でにぎわう築地市場場外の活気を継承し、豊洲のまちづくりに貢献することを目的に、都が民間の事業者を公募。昨年2月、全国ですし店「すしざんまい」を展開する喜代村と、大和ハウス工業が事業予定者に決まった。

 計画では、約140の飲食店・小売店が軒を連ねる場外市場や1000席のフードコート、首都圏最大級の温浴施設、世界の調理器具市場を目玉とし、青果卸・仲卸売場の5街区と水産仲卸売場の6街区それぞれに複合施設を建て、年間420万人を集客するとしている。延べ床面積計6万5700平方メートル、投資規模は数百億円で、3月までに設計を完了し着工するはずだった。

 ところが2月になって、5街区施設担当の大和ハウス工業が辞退。当初の設計案における荷物搬入口が、一部市場業者の反対に遭い、確保できなくなったのが理由だ。

 そのため、6街区担当の喜代村は「5街区の計画凍結により、事業全体をどのように成立させるか、大急ぎで計画を練り直している」(同社関係者)という。

 しかし、そんな喜代村も撤退の方向へと傾き始めている。豊洲に程近い台場の日帰り温泉「大江戸温泉物語」が、都と交わしている定期借地権契約が切れる16年3月に営業を終了すると見込んで、温浴施設を造る計画を立てていた。