国際商品市況全般で、相場の方向感がはっきりしない状況が続いている。1月までは、原油安に連動して他の国際商品にも売り圧力が及んだり、世界景気の減速観測によって国際商品全般が売られる相場であった。しかし、原油の急落には歯止めがかかり、世界景気の減速懸念も緩和する中で、相場の焦点を絞りにくくなっている。

 原油の国際指標であるブレントの相場は、1月中旬を底に上昇に転じたものの、2月中旬以降は頭打ちとなっている。米国の石油掘削設備の稼働数は、一時ほど急減しなくなったものの、減少傾向が続いており、シェールオイルの増産に歯止めがかかるとの期待感を醸成している。しかし、米国の原油生産は高水準を続け、原油在庫も増加傾向が続いている。

 一方、イラン核開発をめぐる協議では、4月2日の枠組み合意を受けて、イラン産原油の増産観測が高まった。しかし、その後のイラン首脳の言動から最終合意には至らない可能性も意識されている。9日に、イラン最高指導者ハメネイ師とロウハニ大統領が、全ての経済制裁が直ちに解除されない限り、最終合意には応じないとの姿勢を強調したと報道され、段階的な制裁解除を主張する米国との立場の違いが鮮明になったからだ。